特別区の採用試験では、面接の重要度が高いといわれています。
特別区の配点は完全非公表とされていますが、最終合格(第1次試験+第2次試験の総合成績)の順位が高い人から希望区の面接に呼ばれることになります。
そのため、配点が大きいといわれている面接試験で高得点を獲得することが極めて重要です。
また特別区の面接は、一般的な市役所などの自治体とは形式が異なりますから、その違いや注意事項について事前に把握しておくことは大きなアドバンテージになります。
今回はそのような注意事項等も含めて、特別区の面接対策とよくある質問について解説していきます。
※説明の便宜上、特別区Ⅰ類(一般事務区分)をメインに説明しています。
- 人事委員会面接の内容
- 他の自治体との面接の違い
- 人事委員会面接で重要なこと
- 人事委員会面接の対策方法・注意点
- 人事委員会面接でよくある質問
本記事の内容を参考に、特別区の面接試験を突破しましょう!
採用までのプロセス
本題に入る前に、特別区の採用までのプロセスについて簡単に確認をしておきたいと思います。
→特別区人事委員会が主催していることから、一般に「人事委員会面接」と呼ばれる
→各区が主催していることから、一般に「区面接」と呼ばれる
ご覧いただくと分かるとおり、特別区では面接試験が全部で2回行われることになります。
このプロセスは、Ⅰ類、Ⅲ類、経験者、障害者採用のすべての採用区分において適用されるものです。
本記事で主に解説するのは、赤字で示した第2次の面接試験(人事委員会面接)についてです。
人事委員会面接を突破できないことには区面接にたどり着くことすらできませんから、この試験が重要な位置にあることがお分かりいただけると思います。
人事委員会面接の内容は?
さらに詳しく、人事委員会面接の内容について説明をしておきたいと思います。
特別区の面接試験の内容をまとめると、下記の表のようになります。
①人事委員会面接 | ②区面接 | |
---|---|---|
実施日 | 第2次試験日 | 最終合格発表後 |
会場 | 大田区産業プラザPiO | 各区の本庁舎 |
形式 | 個別面接 | 個別面接、集団討論など(区による) |
時間 | 30~40分 | ・個別面接:15~30分 ・集団討論:30~60分 |
特別区の2つの面接試験においては、大きな違いがあるとすれば「形式」と「時間」が挙げられると思います。
人事委員会面接では30~40分の個別面接が行われるため、区面接よりも長丁場である点がポイントです。

他の自治体では長くても20分程度のところが多い中で、特別区は拘束時間が長めです!
【例年同じ】面接会場と日程をおさえる
次に、例年の面接会場と日程について紹介します。
(1)会場・アクセス
特別区の面接は、例年「大田区産業プラザPiO」というイベントホールの1階「大展示ホール」で行われます。
出典:大田区産業プラザPiO 施設・設備紹介「大展示ホール」
こちらの画像は広いホールとなっていますが、当日はここに数十個のブースが設置され、パーテーションで区切られた簡易的な個室空間で面接を受けることになります。
各ブースは密閉された空間ではありませんので、他のブースの受験生や面接官の声が聞こえてしまうことがある点に注意が必要です。



本番で焦らないよう、模擬面接など普段の練習から声を張ることが大切ですね。
またアクセスは2通りで、京浜急行「京急蒲田」駅より徒歩約3分、またはJR京浜東北線、東急池上・多摩川線「蒲田」駅より徒歩約13分となっています。
どちらのルートから向かうにせよ、当日までに一度はルートの確認をしておきましょう。
(2)日程
2025年度の面接日程は下記のとおりです。
採用区分 | 第2次試験の面接日程 |
---|---|
Ⅰ類 | 6月30日(月)~7月11日(金)の間で指定された1日 |
Ⅲ類 | 11月7日(金)、11月10日(月) のうち指定された1日 |
経験者 | 11月1日(土)、2日(日)、3日(月)、8日(土)、9日(日)のうち指定された1日 |
障害者 | 11月4日(火)、5日(水)、6日(木)のうち指定された1日 |
どの採用区分においても、指定された日時の変更はできません。
また、集合時間は人によってバラバラで、例えば朝9時頃の人もいれば夕方16時以降の人もいます。
第1次選考の結果通知に集合時間等が記載されていますので、当日までに確認しておきましょう。
【特別区ならではの特殊形式!】面接当日の流れ
特別区は受験者数がとても多いため、多くの受験生をブースに振り分け、数十人を同時に面接する形式となっています。
具体的な面接当日のプロセスは下記のとおりです。
- 受付でブースの配置等が記載された用紙を受け取ります。
- 面接開始時刻ごと(〇〇時〇〇分の回など)にグループ分けされており、自分のグループが呼ばれるまで待機します。
- 自分のグループが呼ばれたら大展示ホールへ移動し、ブースの前で待機します。
- 開始のアナウンスが流れたらブースに入室します。
- 面接官から終了の旨を伝えられたら退出して帰宅します。
一般的な市役所などの自治体と比較すると、珍しい形式であることがお分かりいただけると思います。



控室で待機する際には、面接開始時刻が後ろの方のグループだと1~2時間程度待つ場合がありますので、面接対策の資料や軽食などを持参しておくと安心です。
【ココが違う!】他の自治体と異なる面接官の特徴とは?
(1)各区の管理職が務める
特別区の面接は、面接官3名と受験生1名の個別面接形式となります。
この面接官は各区の管理職が担っており、当日どの区の管理職が当たるかは分かりません。
ただし、江戸川区だけは「独自採用方式」という専願制を採用しているため、江戸川区を希望区として出している場合には面接官は江戸川区職員となります。



詳しくは江戸川区のホームページで紹介されていますので、気になる方は参考までにこちらの「独自採用方式とは何ですか」をご覧ください!
また経験者採用に関していえば、社会人採用専門予備校Gravityにおける私の指導経験から、第1希望区の管理職が含まれている可能性が高いと予想されます。
このことから、他の採用区分に関しても第1希望区の管理職がいる可能性がありますので、そのつもりで面接に挑むようにしましょう。
そして最も重要なポイントとしては、面接を担当する管理職の方々は「行政のプロ」であるという点です。
すべての面接官が人事担当の経験があるわけではありませんが、管理職は普段から課を率いてマネジメントを行っている人物です。
管理職からすれば、受験生は自分の部下として配属される可能性があるわけですから、受験生が入庁後にやっていけるかどうか、長年の現場経験やマネジメント経験からシビアに判定をしてくるのも当然です。
「面接のプロではないからゆるい気持ちで挑んでも何とかなる」と高をくくっていると面接で失敗しますから、緊張感を持って面接に臨むようにしましょう。
(2)ブースによって雰囲気が異なる
面接会場に数十個のブースがあるということは、数十人の面接官がそれぞれのブースを担当していることになります。
つまり、ブースによって面接官の年齢や性別、所属課が異なりますから、質問する内容や質問の仕方も面接官ごとに異なるということになります。
もちろんいくら面接官が多いとはいえ、面接時の評価シートはすべてのブースで同じものを使用しており、特別区人事委員会から指標のようなものは共有されているはずですから、そこから大きく乖離するような質問はされないでしょう。
しかし面接官個人に関していえば、頷いてくれて話しやすい雰囲気の面接官もいれば、ずっと首を傾げているような強めの雰囲気の面接官もいることは確かです。
こればかりは運ですから、考えすぎないようにしましょう。
そして、このように当日どのような面接官にあたるのかが分からないからこそ、後に説明する「模擬面接を受けること」に意味があるのです。
一人で練習をしていても自分の考え得る範囲でしか対策ができませんし、強めの面接官にあたってしまったときに焦って言葉に詰まってしまうでしょう。
そのため、実際に模擬面接を受けて客観的な評価を仰ぎ、時には圧迫面接をお願いしてみるなどして、誰に対してもいつもどおりの自分で話せるように訓練を積むことが必要なんですね。



可能であれば複数人の模擬面接官との面接を経験し、様々なタイプの人と話せるようにしておくと安心です。
人事委員会面接で重要なこと4選
ここからは、具体的な面接対策の内容に入っていきます。
まずは、人事委員会面接の対策を進める上で大切なことを4つ紹介しておきたいと思います。
(1)あらかじめ回答を準備すること
筆記試験の対策をする際には、「過去問をやるのは当たり前」と認識している方が多いのではないかと思います。
これは面接試験も同じで、「過去に聞かれた質問に沿って回答を準備すること」はとても重要な作業です。
なぜ面接でこの準備が必要なのかというと、初めてされた(一度も聞いたことがない)質問に対して、スムーズに答えられる人は圧倒的に少数派だからです。
模擬面接で受験生の方々を見ていると、人並み以上に話せるスーパーマンはごく少数で、多くの方が話すことに苦慮している印象を受けます。
ここにさらに当日の緊張が加われば、なおさらスムーズに話すことは困難でしょう。
面接官の前で言葉に詰まらないように、また適切な言葉選びができるようになるためには、事前に回答を作っておくことが一番の近道です。



人事委員会面接では、よくある質問やパターンが存在しますので、まずはそれらについて知り、傾向を把握することから始めましょう。
(2)繰り返し話す練習をすること
「話す練習」とは、自分以外の第三者に話す練習のことです。
模擬面接で受験生の方々を見ていると、緊張でうまく話せない方、回答が冗長でまとまっていない方、質問とズレた回答をする方、暗記した内容を思い出しながら話す方など、様々な方がいます。
残念ながら、これらの特徴が面接試験においてプラスに働くことはありません。
「スラスラと、適切な尺で、聞かれたことに答える」というのは、簡単なようで意外と難しいものです。
残念ながらこれは一人で解消できるものではなく、自分以外の誰かと話すことによって少しずつ上達していくものですから、地道に話す練習を繰り返していく作業が肝要といえます。
特に緊張しやすい方であれば、ほぼ確実に当日も緊張するでしょうから、緊張の中でも実力を発揮できるように先回りして準備しておかなくてはなりません。
話す練習をしすぎて悪い方向に動くことはほとんどありませんから、ぜひ繰り返し練習をしてほしいと思います。
(3)回答が一貫していること
回答に矛盾が生じていると、面接官は「さっきと言っていることが違うな」と違和感を覚え、その後の面接がネガティブな方向にいってしまうことがあります。
窓口に立つ職員が住民に矛盾したことを伝えてしまっては大問題ですから、当然といえば当然です。
そのため、面接試験における一貫性のない回答は信用失墜につながることを肝に銘じ、終始矛盾のないエピソードを話すことを意識してほしいと思います。
特に、嘘のエピソードを入れ込むと矛盾が起きやすくなりますから、基本的には嘘をつかないことをオススメします。
エピソードを盛る場合にも、後から話の辻褄が合わなくならないよう十分注意してください。
(4)「コミュニケーション」をすること
基礎自治体である特別区は、実際に区民と触れ合う機会が数多くあります。
また仕事をする上では、課や係単位で他の職員と一緒に進めていくことになります。
この前提を踏まえると、コミュニケーションをとれない人では特別区職員が務まらないことは明白です。
私が実際に模擬面接をする中で「コミュニケーションがとれない人だな」と感じるのは、例えば暗記した回答をそのまま話している方です。
たしかに、私は先ほど「あらかじめ回答を準備することは大切である」と説明しましたが、それは必ずしも”作成した回答をそのまま読み上げる”ということを意味しません。
回答を思い出しながら話すというのは、目の前にいる面接官とのコミュニケーションをとっているようには見えないでしょう。
そのため、話す練習を繰り返した結果として暗記をしたとしても、それが暗記した回答には見えないように、自然な様子で話せるようにしておかなくてはなりません。
そのほかにも、例えば趣味などのプライベートな質問をされた場面にもかかわらず、表情が固いままの方なども挙げられます。
人とのコミュニケーションにおいては、話の内容によって表情がほぐれるなどの変化が生じることは自然な反応です。
面接官があなたの人柄をみたいと思っていても、仏頂面では「何を考えているのかが分からない」ということになってしまいますね。
だからといって、わざとらしく笑顔をつくれ!と言っているわけではありませんので、場の空気を読みつつ違和感のない自然なコミュニケーションを心がけてほしいと思います。
目標としては、「この人と働きたいな」と思ってもらえるような話しぶりを目指しましょう。



ここで挙げた特徴は一部にすぎませんので、模擬面接などを通して客観的な評価を得る中で、適宜修正を重ねていってほしいと思います。
【STEPごとに詳しく解説】人事委員会面接の対策方法
面接対策といっても、「何から始めればよいのか分からない」という方も多いと思います。
まずは、特別区Ⅰ類における具体的な人事委員会面接対策のプロセスについて、スケジュール例を紹介しますので参考にしてみてください。
下記の例はあくまでも大枠になりますから、自分の苦手な項目については下記のスケジュールよりも早めに取り組むなどしてみてください。
~受験申込み(3月上旬~下旬)~ |
~第1次試験(4月下旬)~ |
~第1次試験 合格発表(6月中旬)~ |
~第2次試験(7月上旬~中旬)~ |
これらの各STEPごとに、詳しく解説していきます。
(STEP1)自己分析・自治体研究をする
自己分析
まず面接対策を進める上では、自己分析や自治体研究を行うことが必須です。
自己分析ではこれまでの人生を振り返り、自分の強みや弱み、価値観などについて整理していくことになります。
それらを整理する際には、自身のこれまでの経験について自問を繰り返す作業を丁寧に行っていく必要があるでしょう。
例えばゼミやサークル、アルバイトなどについて、なぜそのゼミを選んだのか、サークルではどのような経験をしてきたのか、アルバイトでどのような学びを得たのかなどが分かりやすいと思います。
記憶に新しい直近の学生生活(大学生活など)から順にさかのぼって考えていきましょう。
また社会人経験がある場合には、これらとあわせて職歴や仕事内容の整理も必要です。
特に社会人の場合には、なぜその仕事に就こうと思ったのか、そこからなぜ特別区への転職を図ろうとしているのかといった、転職の一連の流れについては詰めておきましょう。
自治体研究
自治体研究では、特別区の仕事内容や取組などについて詳しく調べていきましょう(先に調べておくと、あとで志望動機を整理する際にも役立ちます)。
他の併願先や地元と比較しながら調べてみると、特別区の特徴や魅力がより分かりやすくなると思います。
特別区職員の仕事を理解するための調査方法については、下記を参考にしてみてください。
- 各区のホームページで調べる
- 各区のSNSで調べる
- 区役所を見学する
- 23区合同説明会に参加する
- 各区独自の説明会に参加する
- 各区の採用パンフレットを見る
- 各区のインターンシップに参加する
- 新聞やテレビなどのニュースで情報収集する
あわせて、特別区の求める人材像についても把握しておかなくてはなりません。
特別区の求める人材像は下記のとおりです。
出典:特別区人事委員会
自己分析のエピソードと求める人材像をリンクさせ、「自ら考え行動する人材」に合致することをアピールできるようにしておきましょう。



自治体研究をしていく上では「まち歩き」もオススメです!
特に、特別区が地元ではない方やつながりが薄い方は、区内の様々な場所に出向いてみてください。
実際に現地に行ってみることで、様々な課題や魅力などを発見することができると思います。
(STEP2)面接カードを作成する
自己分析や自治体研究がある程度まとまったら、面接カードの作成に着手します。
詳しい面接カードの書き方については下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。


ちなみに面接カードについては、可能な限り予備校講師など第三者からの添削を受けることをオススメします。
私もこれまでたくさんの面接カードを見てきましたが、程度の差こそあれ、修正が必要な方がほとんどです。
言葉のクセや構成の歪みは自分では気づきにくいものですから、予備校やキャリアセンターなどで添削をしてもらうようにしてください。
(STEP3)3分プレゼンを準備する
3分プレゼンとは、特別区Ⅰ類の面接の冒頭で課されているプレゼンテーションのことです。
面接カードの設問1には下線部のような記載があります。
(設問1)あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に入力してください。(250字以内)※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。
3分プレゼンの準備で大切なことは、原稿の作成と時間を計って話す練習です。
まずは原稿から準備するわけですが、一般的に人間が話すスピードを考慮すると字数に換算して約900~1,000字程度となり、Word1枚分くらいのボリュームになります。
このボリュームの原稿を最初に作り上げるのは至難の業ですから、まずは面接カードの項目1を作成し、大枠が完成してから3分プレゼン用に肉付けしていくという方法が効率的です。
詳しくは下記の3分プレゼンのポイント・作り方の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。


(STEP4)面接回答を準備する【よくある質問3選】
人事委員会面接でよくある質問は、大きく分けて「深掘り質問」「特別区に関する質問」「他には?質問」の3つに分けられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【よくある質問①】深掘り質問
1つ目は、面接カードに記載されている内容や、受験生の回答に対して突っ込んで聞いてくるタイプの質問です。
例えば、下記のような面接カードを提出したとします。
私が挑戦したい仕事は、スポーツを通じた共生社会の推進です。私は、中学校時代からバスケットボール部に所属しています。大学では、区内のスポーツクラブで児童にバスケを教える機会があり、スポーツが地域の活力となっていることを実感しました。この経験から、今後は職員という立場で区のスポーツ振興に取り組みたいと考え、特別区を志望しました。スポーツを通して培った私の強みである行動力を活かし、年齢や性別、障害の有無等にかかわらず、全ての区民を対象としたスポーツ企画を実施し、活力のある特別区の実現に貢献します。(248字)
面接官はこの文章を読んだ上で、疑問を抱いた部分について質問をしてきます。
“スポーツを通じた地域共生社会”とは、具体的にどのような社会のこと?
“区内のスポーツクラブで児童にスポーツを教える機会があり”とあるけど、どのような経緯で活動することになったのか?
スポーツクラブでの活動では、どのような困難があったか?
このように面接カードに記載されていることについて、具体性を問われることになります。
この対策については、面接官の立場になって面接カードを見ていくと想定質問が浮かんでくるでしょう。



自分一人で考えるよりも、第三者からの客観的な視点で指摘を受けることをオススメします。
また、面接カードそのものについて問われるだけではなく、面接官から聞かれた質問に対して回答した内容について突っ込まれることもあります。
例えば、
あなたの長所は何か?
と聞かれて「私の長所は○○です」と回答したあとに、
その長所はいつ頃から自覚するようになったのか?
というように、回答に紐づく背景等について問われることが多いため、回答から派生する具体的な内容についても準備しておくようにしましょう。
典型的には、下記のような質問が多いです。
①目的 | なぜそれをやりたかったのか?、なぜそれをやることになったのか?など |
---|---|
②時期 | いつ頃考え始めたのか?、どのくらいの期間で行ったのか?など |
③過程 | どのくらいの人数で実行したのか?、どのような困難があったのか?など |
④結果 | どのように達成したのか?、どのような学びを得たのか?など |
特に人事委員会面接では、1つの質問に対する回答を作成したらそれで終わりとするのではなく、具体的で隙のない回答を作り上げていくのがポイントです。
【よくある質問②】特別区の政策に関する質問
2つ目は特別区の政策に関する質問で、具体的には特別区の取組や施策、課題などに関する質問のことです。
区職員になりたい人物が、その区の事情を何も知らないわけにはいきません。
本気度を示すためにも、質問がきたときにスッと返せるようにしておくと面接官も安心です。
この質問では、例えば下記のようなものがあります。
- 特別区の課題は何か
- 特別区の先進的な取組は何か
- 特別区の取組で興味のあるものは何か
- 特別区の取組で悪い点はあるか
- その悪い点に対してどのような解決策が浮かぶか
- 特別区の〇〇分野で知っている取組はあるか
これらの質問は一部ですが、実際に毎年のように多くの受験生が聞かれている質問です。
そのため、特別区の取組等については事前にしっかり下調べをし、あらゆる角度で回答できるようにしておかなくてはなりません。
ここは自分の挑戦したい仕事とリンクしていると説得力が出ますので、まずは自分の興味のある分野の取組・課題を調べてみてください。
【よくある質問③】他には?質問
3つ目は、「他に”志望動機”は?」や「他に”やり遂げた経験”は?」、「他に”特別区の課題”は?」といったように、面接カードに記載している事柄や面接で述べたこと以外に他の回答を求めてくるタイプの質問です。
特別区の面接においては「他にはあるか?」と聞かれることが多々あります。
これはもはや特別区名物といってもよいですが、ここでは「他には攻撃」と称しておきましょう。
もちろん、すべての受験生が他には攻撃を受けるとは限りませんが、ある程度の確率で聞かれることを踏まえると準備しておくべきでしょう。
オススメとしては、複数の回答があり得る質問について2~3つほど回答を準備しておくことです。
例えば、「特別区で挑戦したい仕事は?」という質問について、最初にする回答を1つ、他には?と聞かれたとき用の回答を1~2つ準備するといったような感じです。
人事委員会面接は拘束時間が長いため、「他には?」と聞かれたあとにさらに「他には?」と聞かれることも少なくありません。
そのため、万全を期すのであれば3つほど準備しておくと安心だと思います。
(STEP5)面接練習をする
面接質問への回答を準備しても、自分の言葉できちんと話せるようにならなくては、面接でよい評価を得ることは難しいでしょう。
特に”話すことが苦手である”と自覚している方ならなおさら、人一倍話す練習をしなくてはなりません。
文字を目で追うのと実際に声に出して話すのとでは全然違いますから、定期的に声に出して練習することをオススメします。
最初は見ながらで構いませんので、自分が作った回答を読み上げる練習をしてみましょう。
回答を暗記すること自体は目的ではなく、作成した回答を自分の中に落とし込み、自分の言葉で話せるようにしていくのがポイントです。



自然に話せるようになるまで繰り返し練習し、家族や友人などに見てもらえる機会があればぜひお願いしてみてください。
(STEP6)模擬面接を受ける
ある程度話す訓練を積んだら、模擬面接を受けてみましょう。
模擬面接は、1次試験の合格発表を待ってから取り組むのでは遅いので、それよりも前の時期から受け始めることをオススメします。
タイミングとしては、すべての質問に完璧な回答を準備してからでは時間がもったいないので、ある程度話す練習をしたら模擬面接を受けてみたほうがよいと思います。
そこで受けた指摘を次回の模擬面接までに直すというように、フィードバックを受けながら修正を重ねていく方法が最も効率的に面接力を高めるのに有効です。
STEP5と6を同時進行していくようなイメージですね。
そのため、模擬面接は1回きりではなく複数回受けることをオススメしています。
面接が大得意の猛者ではない限り、本番を想定した訓練はやはり必要ですから、最低でも2回以上は受けてみてください。
そして、2回目、3回目と模擬面接を受けていく際には、必ず前回の反省点を改善してから臨みましょう。
稀に改善されていないまま次の模擬面接にトライする方がいますが、指摘された箇所を直さなければ何度模擬面接を受けても評価は上がりません。
(STEP7)質疑応答・反省点をまとめる
面接が終了したら、次の区面接までに質疑応答の内容と反省点を言語化しておきましょう。
どのような質問をされたか、その質問に対してどのような回答をしたかを整理しておけば、次に控えている区面接で活かすことができるからです。
反省点についても同様で、面接でうまく答えられなかった質問があったのであれば、次は答えられるように準備しておかなくてはなりません。
区面接で再度同じような質問をされることは十分ありますから、面接当日~数日以内の忘れないうちにしっかりとまとめておきましょう。
また仮に面接がうまくいかなかった場合に、落ち込んでいるからとそのままにしてしまうのは非常にもったいないことです。
手応えがなくとも区面接に呼ばれる可能性はありますし、そこでの反省は他の併願先や来年以降の再チャレンジの際に必ず役に立ちます。



面接がうまくいってもそうでなくとも”復元するまでが第2次試験”だと思って、もうひと踏ん張り頑張ってほしいと思います。
まとめ
今回は、特別区受験生に向けて面接対策の方法を解説しました。
冒頭でも説明したとおり、特別区の面接試験は配点が大きいといわれていますから、高得点を狙うことが求められます。
面接対策においては、特別区で過去に聞かれた質問等を知り、回答を準備し、繰り返し話す練習をすることで、着実に合格に近づきます。
面接試験に苦手意識を持っている方も多いかもしれませんが、初めから得意な人はほとんどいません。
何度も練習をして、ぜひ面接マスターになってほしいと思います。
なお、最終合格後に実施される区面接の対策とよくある質問については下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

