【特別区】面接対策とよくある質問について解説!2024年度版

特別区の採用試験では、面接の重要度が高いといわれています。

特別区の配点は完全非公表とされていますが、最終合格(第1次試験+第2次試験の総合成績)の順位が高い人から希望区の面接に呼ばれることになります。

そのため、配点が大きいといわれている面接試験で高得点を獲得することが極めて重要です。

また、特別区の面接は、一般的な市役所などの自治体とは形式が異なりますから、その違いや注意事項について事前に把握しておくことは大きなアドバンテージになります。

今回は、そのような注意事項等も含めて、特別区の面接対策とよくある質問について解説していきます。
※説明の便宜上、特別区Ⅰ類(事務区分)をメインに説明しています。

この記事の内容を参考に、特別区の面接試験を突破しましょう!

目次

採用までのプロセス

本題に入る前に、特別区の採用までのプロセスについて、簡単に確認をしておきたいと思います。

STEP
受験申込
STEP
第1次試験(筆記試験)
STEP
第2次試験(面接試験)

→特別区人事委員会が主催していることから、一般に「人事委員会面接」と呼ばれる

STEP
各区ごとの採用試験(面接試験等)

→各区が主催していることから、一般に「区面接」と呼ばれる

STEP
内定

ご覧いただくと分かるとおり、特別区では、面接試験が全部で2回行われることになります。
このプロセスは、Ⅰ類、Ⅲ類、経験者、氷河期、障害者採用のすべての採用区分において適用されるものです。

今回、この記事で主に解説するのは、赤字で示した第2次の面接試験(人事委員会面接)についてです。
2次試験を突破できないことには区面接にたどり着くことすらできませんから、この試験が重要な位置にあることがお分かりいただけると思います。

面接試験の内容

さらに詳しく、特別区における面接試験の内容について説明をしておきたいと思います。

特別区の面接試験の内容をまとめると、下記の表のようになります。

全採用区分共通(1)人事委員会面接(2)区面接
実施日第2次試験日最終合格発表後
会場大田区産業プラザPiO各区の本庁舎
形式個別面接個別面接、集団討論など(区による)
時間30~40分・個別面接:15~30分
・集団討論:30~60分
特別区採用試験の面接内容

特別区の2つの面接試験においては、大きな違いがあるとすれば、「形式」と「時間」が挙げられると思います。
人事委員会面接では30~40分個別面接が行われますから、区面接よりも長丁場となります。

なお、時間については経験者採用が40分となっており、その他の採用区分(Ⅰ類、Ⅲ類、氷河期、障害者採用)が30分となっています。
いずれにせよ、他の自治体では長くても20分程度のところが多いですから、特別区は拘束時間が長いことが大きな特徴といえるでしょう。

面接会場・日程

次に、例年の面接会場と日程について紹介します。
基本的には毎年同じ会場と日程ですから、こちらを参考にしてみてください。

(1)会場・アクセス

特別区の面接は、例年「大田区産業プラザPiO」というイベントホールの1階「大展示ホール」で行われます。
会場の画像は、下記のとおりです。

出典:大田区産業プラザPiO 施設・設備紹介「大展示ホール」

こちらの画像は広いホールとなっていますが、当日はここに数十個のブースが設置され、パーテーションで区切られた簡易的な個室空間で面接を受けることになります。

各ブースは密閉された空間ではありませんので、他のブースの受験生や面接官の声が聞こえてしまうことがあります。
そのような場合でも、焦らずに自分の面接に集中することはもちろんのこと、模擬面接など普段の練習でも声を張ることを意識しましょう。

また、アクセスは2通りで、京浜急行「京急蒲田」駅より徒歩約3分、またはJR京浜東北線、東急池上・多摩川線「蒲田」駅より徒歩約13分となっています。

どちらのルートから向かうにせよ、当日までに一度はルートや会場の確認をしておくことをおすすめします。

(2)日程

2024年度の面接の日程は、下記のとおりです。

採用区分第2次試験の面接日程
Ⅰ類採用7月8日(日)~7月18日(木)の間で指定された1日
Ⅲ類採用10月31日(木)、11月1日(金) のうち指定された1日
経験者採用10月26日(土)、27日(日)、11月2日(土)、3日(日)、4日(月)のうち指定された1日
氷河期採用11月4日(月)
障害者採用10月28日(月)、29日(火)、30日(水)のうち指定された1日
2024年度 特別区採用試験 面接日程

どの採用区分においても、指定された日時の変更はできませんので覚えておきましょう。

集合時間については、朝9時頃の人もいれば夕方16時以降の人もいるなど、人によってバラバラです。
第1次選考の結果通知に集合時間等が記載されていますので、当日までに確認しておきましょう。

面接当日のプロセス

特別区の第2次試験は受験者数がとても多いため、多くの受験生をブースに振り分け、数十人を同時に面接する形式となっています。

具体的な面接当日のプロセスは、下記のとおりです。

STEP
受付
  • 受付でブースの配置等が記載された用紙を受け取ります。
STEP
控室で待機
  • 面接開始時刻ごと(〇〇時〇〇分の回など)にグループ分けされており、自分のグループが呼ばれるまで待機します。
STEP
面接会場へ移動
  • 自分のグループが呼ばれたら大展示ホールへ移動し、ブースの前で待機します。
STEP
面接開始
  • 開始のアナウンスが流れたらブースに入室します。
STEP
面接終了
  • 面接官から終了の旨を伝えられたら、退出して帰宅します。


一般的な市役所などの自治体と比較すると、特殊な形式であることがお分かりいただけると思います。

控室で待機する際には、面接開始時刻が後ろの方のグループだと1~2時間程度待つ場合がありますので、面接対策の資料や軽食などを持参しておくと安心です。

面接官の特徴

(1)各区の管理職が務める

特別区の面接は、面接官3名と受験生1名の個別面接形式となります。
この面接官は各区の管理職が担っており、当日どの区の管理職が当たるかは分かりません。

ただし、江戸川区だけは「独自採用方式」という専願制を採用しているため、江戸川区を希望区として出している場合には面接官は江戸川区職員となります。

詳しくは江戸川区のホームページで紹介されていますので、気になる方は参考までにこちらの「独自採用方式とは何ですか」をご覧いただくとよいと思います。

また、経験者採用に関していえば、社会人採用専門予備校Gravityにおける私の指導経験から、第1希望区の管理職がいる可能性が高いと予想されます。
このことから、他の採用区分に関しても第1希望区の管理職がいる可能性がありますので、そのつもりで面接に挑むとよいでしょう。

そして最も重要なポイントとしては、面接を担当する管理職の方々は「行政のプロ」であるという点です。

すべての面接官が人事担当の経験があるわけではありませんが、管理職は普段から課を率いてマネジメントを行っている人物です。

管理職からすれば、受験生は自分の部下として配属される可能性があるわけですから、受験生が入庁後にやっていけるかどうか、長年の現場経験やマネジメント経験からシビアに判定をしてくるのも当然です。

「面接のプロではないからゆるい気持ちで挑んでも何とかなる」と高をくくっていると面接で失敗しますから、緊張感を持って面接に挑むようにしましょう。

(2)ブースによって異なる

面接会場に数十個のブースがあるということは、数十人の面接官がそれぞれのブースを担当していることになります。
つまり、ブースによって面接官の年齢や性別、所属課が異なりますから、質問する内容や質問の仕方も面接官ごとに異なるということになります。

もちろん、いくら面接官が多いとはいえ、面接時の評価シートはすべてのブースで同じものを使用しているでしょうし、特別区人事委員会から指標のようなものは共有されているはずですから、そこから大きく乖離するような質問はされないでしょう。

しかし、面接官個人に関していえば、頷いてくれて話しやすい雰囲気の面接官もいれば、ずっと首を傾げているような強めの雰囲気の面接官もいることは確かです。
こればかりは運ですから、考えていても仕方のないことです。

そして、このように当日どのような面接官にあたるのかが分からないからこそ、後に説明する「模擬面接を受けること」に意味があるのです。
一人で練習をしていても自分の考え得る範囲でしか対策ができませんし、強めの面接官にあたってしまったときに焦って言葉に詰まってしまいます。

そのため、実際に模擬面接を受けて客観的な評価を仰ぎ、時には圧迫面接をお願いしてみるなどして、誰に対してもいつもどおりの自分で話せるように訓練を積むことが必要といえます。
可能であれば複数人の模擬面接官との面接を経験し、様々なタイプの人と話す練習もしておくとよいですね。

特別区の面接対策で重要なこと

ここからは、具体的な面接対策の内容に入っていきます。

まずは、特別区の面接対策を進める上で大切なことを4つ紹介しておきたいと思います。

(1)あらかじめ回答を準備すること

筆記試験の対策をする際には、「過去問をやるのは当たり前」と認識している方が多いのではないかと思います。
これは面接試験も同じで、「過去に聞かれた質問に沿って回答を準備すること」はとても重要な作業です。

なぜ面接でこの準備が必要なのかというと、初めてされた(一度も聞いたことがない)質問に対して、スムーズに答えられる人は圧倒的に少数派だからです。

模擬面接で受験生の方々を見ていると、人並み以上に話せるスーパーマンはごく少数で、多くの方が話すことに苦慮している印象を受けます。
ここにさらに当日の緊張が加われば、なおさらスムーズに話すことは困難でしょう。

面接官の前で言葉に詰まらないように、また、適切な言葉選びができるようになるためには、過去に聞かれた質問を知り、自分なりの回答を作っておくことが一番の近道といえます。

特別区の面接では、よくある質問やパターンが存在しますので、まずはそれらについて知り、傾向を把握することから始めましょう。

(2)繰り返し話す練習をすること

「話す練習」とは、自分以外の第三者に話す練習のことです。

模擬面接で受験生の方々を見ていると、緊張でうまく話せない方、回答が冗長でまとまっていない方、質問とズレた回答をする方、暗記した内容を思い出しながら話す方など、様々な方がいます。
残念ながら、これらの特徴が面接試験においてプラスに働くことはありません。

「スラスラと、適切な尺で、聞かれたことに答える」というのは、簡単なようで意外と難しいものです。
残念ながらこれは一人で解消できるものではなく、自分以外の誰かと話すことによって少しずつ上達していくものですから、地道に話す練習を繰り返していく作業が肝要といえます。

特に緊張しやすい方であれば、ほぼ確実に当日も緊張するでしょうから、緊張の中でも実力を発揮できるように先回りして準備しておかなくてはなりません。
話す練習をしすぎて悪い方向に動くことはほとんどありませんから、ぜひ繰り返し練習をしてほしいと思います。

(3)回答が一貫していること

回答に矛盾が生じていると、面接官は「さっきと言っていることが違うな」と違和感を覚え、その後の面接がネガティブな方向にいってしまうことがあります。
窓口に立つ職員が住民に矛盾したことを伝えてしまっては大問題ですから、当然といえば当然です。

そのため、面接試験における一貫性のない回答は信用失墜につながることを肝に銘じ、終始矛盾のないエピソードを話すことを意識してほしいと思います。

特に、嘘のエピソードを入れ込むと矛盾が起きやすくなりますから、基本的には嘘をつかないことをおすすめします。
エピソードを盛る場合にも、後から話の辻褄が合わなくならないよう十分注意してください。

(4)「コミュニケーション」をすること

基礎自治体である特別区は、実際に区民と触れ合う機会が数多くあります。
また、仕事をする上では、課や係単位で他の職員と一緒に進めていくことになります。

この前提を踏まえると、コミュニケーションをとれない人では特別区職員は務まりません。

私が実際に模擬面接をする中で、「コミュニケーションがとれない人だな」と感じるのは、例えば、暗記した回答を話している方ですね。

確かに、私は先ほど「あらかじめ回答を準備すること」は大切であると説明しましたが、それは必ずしも「作成した回答をそのまま読み上げる」ということを意味しません。

回答を思い出しながら話している様子は、残念ながら、目の前にいる面接官とのコミュニケーションをとっているようには見えません。

そのため、話す練習を繰り返した結果として暗記をしたとしても、それが暗記した回答には見えないように、自然な様子で話せるようにしておかなくてはなりません。

そのほかにも、例えば、趣味などのゆるめの質問をされた場面にもかかわらず、表情が固いままの方なども挙げられます。

人とのコミュニケーションにおいては、話の内容によって表情がほぐれるなどの変化が生じることは自然な反応です。
面接官があなたの人柄をみたいと思っていても、終始仏頂面では「何を考えているのかが分からない」ということになってしまいますね。

だからといって、わざとらしく笑顔をつくれ!といっているわけではありませんので、面接時の空気を読みつつ、違和感のない自然なコミュニケーションを心がけてほしいと思います。

目標としては、「この人と働きたいな」と思ってもらえるような話しぶりを目指しましょう。
ここで挙げた特徴は一部にすぎませんので、模擬面接などを通して客観的な評価を得る中で、適宜修正を重ねていってほしいと思います。

面接対策のプロセス

面接対策といっても、「何から始めればよいのか分からない」という方も多いと思います。

まずは、特別区Ⅰ類における具体的な面接対策のプロセスについて、スケジュール例を紹介しますので参考にしてみてください。

下記の例はあくまでも大枠になりますから、自分の苦手な項目については、下記のスケジュールよりも早めに取り組むなどの工夫をしましょう。

STEP
自己分析・自治体研究をする(~12月)
STEP
面接カードを作成する(1~2月)
~受験申込み(3月上旬~下旬)~
~第1次試験(4月下旬)~
STEP
3分プレゼンの準備をする(5月)
STEP
面接質問への回答を作成する(5月)
STEP
話す練習をする(5~6月)
STEP
模擬面接を受ける(6月)
~第1次試験 合格発表(6月中旬)~
~第2次試験(7月上旬~中旬)~
STEP
質疑応答・反省点をまとめる(試験終了後)

これらの各STEPごとに、詳しく解説していきます。

(STEP1)自己分析・自治体研究をする

自己分析

まず、面接対策を進める上では、最初に自己分析や自治体研究を行うことが必須です。

自己分析では、これまでの人生を振り返り、自分の強みや弱み、価値観などについて整理していくことになります。
それらを整理する際には、理由や学びについて自問を繰り返していく作業を丁寧に行っていく必要があります。

例えば、ゼミ、サークル、アルバイトなどについて、なぜそのゼミを選んだのか、サークルではどのような経験をしてきたのか、アルバイトでどのような学びを得たのかなどが分かりやすいと思います。
記憶に新しい直近の学生生活(大学生活など)から、高校、中学校とさかのぼって考えていきましょう。

また、社会人経験がある場合には、これらとあわせて職歴や仕事内容の整理も必要です。
特に社会人の場合には、なぜその仕事に就こうと思ったのか、そこからなぜ特別区への転職を図ろうとしているのかといった、転職の一連の流れについては詰めておきたいところです。

自治体研究

自治体研究では、特別区の仕事内容や取組などについて詳しく調べていきましょう(調べておくと、志望動機を整理する際にも役立ちます)。
他の併願先や地元と比較しながら調べてみると、特別区の特徴や魅力がより分かりやすくなると思います。

特別区職員の仕事を理解するための調査方法については、下記に例を挙げてみました。

特別区職員の仕事を理解するための調査方法(例)
  • 各区のホームページで調べる
  • 各区のSNSで調べる
  • 区役所を見学する
  • 23区合同説明会に参加する
  • 各区独自の説明会に参加する
  • 新聞やテレビなどのニュースで情報収集する

特別区の取組の調査方法については、上記の「各区のホームページで調べる」のが一番簡便な方法だと思います。

例えば、中央区のホームページを例に挙げると、「構想・計画・施策」というページに「基本計画」のリンクがあるので、その中から調べたいトピックの計画等を見てみるとよいでしょう。

また、特別区の求める人材像についても把握しておかなくてはなりません。
特別区の求める人材像は、下記のとおりです。

出典:特別区人事委員会

自己分析のエピソードと求める人材像をリンクさせ、「自ら考え行動する人材」に合致することをアピールできるようにしておきましょう。

そして、自治体研究をしていく上では「まち歩き」もおすすめです。
特に、特別区が地元ではなかったりつながりが薄かったりする方は、区内の様々な場所に出向いてみてください。
実際に現地に行ってみることで、様々な課題や魅力などを発見することができると思います。

なお、自治体研究の期間を「~12月」としていますが、これは面接カードに落とし込むために区切っているだけですから、面接当日まで継続して行うようにしましょう。

(STEP2)面接カードを作成する

自己分析や自治体研究がある程度まとまったら、面接カードの作成に着手します。

詳しい面接カードの書き方については下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

ちなみに、面接カードについては、可能な限り予備校などの第三者からの添削を受けることをおすすめします。

面接カードなどの添削をしていると、程度の差こそあれ、修正が必要な方がほとんどです。
言葉のクセや構成の歪みは自分では気づきにくいものですから、予備校やキャリアセンターなどで添削をしてもらうようにしてください。

(STEP3)3分プレゼンの準備をする

3分プレゼンとは、特別区Ⅰ類の面接の冒頭で課されているプレゼンテーションのことです。

面接カードの設問1には、下記のような記載があります。

(設問1)あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に書いてください。(250字以内)※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。

記載のとおり、設問1に関するプレゼンを3分程度で行わなくてはなりません。

3分プレゼンの準備で必要なことは、原稿の作成と話す練習です。
まずは原稿から準備するわけですが、一般的に人間が話すスピードを考慮すると、字数に換算して約900~1,000字程度となり、Word1枚分くらいのボリュームになります。

このボリュームの原稿を最初に作り上げるのは至難の業です。
したがって、まずは面接カードの項目1を作成し、大枠が完成してから3分プレゼン用に肉付けしていくのがよいでしょう。

詳しい3分プレゼンの準備の仕方については、別途解説記事を作成しますので、今しばらくお待ちください。

(STEP4)面接質問への回答を作成する

面接質問は、以下の3つの質問について準備しておくとよいでしょう。

(1)過去に聞かれた質問

過去に聞かれた質問については、予備校などが提供している面接復元を参考にしてみてください。
独学で挑んでいる方は、公務員試験 面接専門予備校アクシズにおいて、人事委員会面接の質問が無料公開されているので下記を参考にしてみましょう。

(2)想定され得る質問

この部分については、初見の人が面接カードを見たときに、疑問が浮かぶであろう部分を考えていきます。

例として、下記の記入例をご覧ください。

【設問1】記入例

私が挑戦したい仕事は、スポーツを通じた共生社会の推進です。私は、中学校時代からバスケットボール部に所属しています。大学では、区内のスポーツクラブで児童にスポーツを教える機会があり、スポーツが地域の活力となっていることを実感しました。この経験から、今後は職員という立場で区のスポーツ振興に取り組みたいと考え、特別区を志望しました。スポーツを通して培った私の強みである行動力を活かし、年齢や性別、障害の有無等にかかわらず、すべての区民を対象としたスポーツ企画を実施し、活力のある特別区の実現に貢献します。(250字)

この文章を見たときに、下記のような疑問が浮かぶと思います。

「”区内のスポーツクラブで児童にスポーツを教える機会があり”とあるけど、なぜそのような機会があったのか?」

「”私の強みである行動力”とあるけど、どうやってその力を培ったのか?」

このように、面接官の立場になって面接カードを見ていくと、想定され得る質問がなんとなく分かってくるかと思います。

ただ、自分一人で考えるよりも、客観的な視点から指摘を受けたほうが新たな気づきを得やすいですから、ここは模擬面接を受ける中で準備していくのもよいでしょう。

(3)よくある質問

よくある質問は、主に次の3パターンに分けられます。

①深掘り質問

1つ目は、面接カードに記載されている内容などについて突っ込んで聞いてくるタイプの質問です。

例として再度、下記の記入例をご覧ください。

【設問1】記入例

私が挑戦したい仕事は、スポーツを通じた共生社会の推進です。私は、中学校時代からバスケットボール部に所属しています。大学では、区内のスポーツクラブで児童にスポーツを教える機会があり、スポーツが地域の活力となっていることを実感しました。この経験から、今後は職員という立場で区のスポーツ振興に取り組みたいと考え、特別区を志望しました。スポーツを通して培った私の強みである行動力を活かし、年齢や性別、障害の有無等にかかわらず、すべての区民を対象としたスポーツ企画を実施し、活力のある特別区の実現に貢献します。(250字)

この文章を見たときに、例えば下記のような追求が考えられます。

「”スポーツを通じた共生社会”とは、具体的にどのような社会のこと?」

「”すべての区民を対象としたスポーツ企画”とは、具体的にどのような企画が考えられる?」

これは面接カードだけではなく、回答に対して突っ込まれることもあります。

例えば「長所は何か?」という質問に回答したあと、「その長所はいつ頃自覚したか?」というように、回答に紐づく背景について問われる場合があります。

そのため、1つの回答を作成したらそれで終わりなのではなく、そこから派生する質問に対しても準備しておく必要があります。

そこで、下記に「背景を問う質問」についてまとめてみました。

①理由「なぜそれをやりたいのか?」「なぜそれをやることになったのか?」など
②時期「いつ頃考え始めたのか?」など
③状況「どのような課題があったのか?」など
④具体性「どのくらいの人数で?」「どのように達成したのか?」など
背景を問う質問

1つの質問に対して回答を作成したら、上記の質問について追加で考えていき、隙のない回答を作り上げていきましょう。

②「他には?」

2つ目は、「他に”志望動機”は?」や「他に”やり遂げた経験”は?」、「他に”特別区の課題”は?」といったように、面接カードに記載している事柄や面接で述べたこと以外に、他の回答を求めてくる質問です。

特別区の面接においては「他にはあるか?」と聞かれることが多々あります。
これは、特別区名物といってもよいですが、ここでは「他には攻撃」と称しておきましょう。

もちろん、すべての受験生が「他には攻撃」を受けるとは限りませんが、ある程度の確率で聞かれることを踏まえると、準備しておくべきでしょう。

おすすめとしては、複数の回答があり得る質問について2~3つほど回答を準備しておくことです。

例えば、「特別区で取り組みたいことは?」という質問について、最初にする回答を1つ、「他には?」と聞かれたとき用の回答を2つ準備するといったような感じです。

なお、「他には?」と聞かれなかった場合を考慮し、2~3つのうち最も主張したいことは最初に述べるようにしましょう。

③特別区の取組等に関する質問

3つ目は、特別区の取組等に関する質問です。

特別区職員になりたい人物が、特別区の事情を何も知らないわけにはいきません。
熱意を示すためにも、質問がきたときにスッと返せるようにしておきたいものです。

この質問では、例えば下記のようなものがあります。

特別区の取組等に関する質問(一部)
  • 特別区の取組で興味のあるものは何か
  • 特別区の取組で良い点・悪い点はあるか
  • その悪い点に対してどのような解決策が浮かぶか
  • 特別区の先進的な取組は何か
  • 特別区の〇〇分野で知っている取組はあるか
  • 特別区・希望区の課題は何か

これらの質問は一部ですが、特別区の取組や課題、特徴などについて理解していなければ、回答することは難しいでしょう。
そのため、特別区の取組等については事前にしっかり下調べをし、あらゆる角度で回答できるようにしておかなくてはなりません。

調査する際には、自分の挑戦したい仕事とリンクしていると説得力がありますし、回答もしやすいと思いますから、まずは自分の興味のある分野の取組を調べてみるとよいでしょう。

また、「特別区の取組」とはいっても、調査をする際には特定の区から情報を得ることが多いかと思います。
そのため、初めは希望3区に絞って情報収集するのがおすすめです。

そして、この質問は先の「深掘り質問」にも当てはまりますから、取組について調べて終わりとするのではなく、様々な深掘りを想定して回答を準備していく必要があります。

(STEP5)話す練習をする

面接質問への回答を準備しても、自分の言葉できちんと話せるようにならなくては、面接でよい評価を得ることは難しいでしょう。

特に、「話すことが苦手である」と自覚している方ならなおさら、人一倍話す練習をしなくてはなりません。
文字を目で追うのと実際に声に出して話すのとでは全然違いますから、定期的に声に出して練習することをおすすめします。

最初は見ながらで構いませんので、自分が作った回答を読み上げる練習をしましょう。
最終的には、暗記するくらいまで練習できるとよいですが、暗記をすることが目的なのではなく自分の中に落とし込むことが目的ですから、暗記それ自体はマストではありません。

自然に話せるようになるまで繰り返し練習し、家族や友人などに見てもらえる機会があれば、ぜひお願いしてみてください。

(STEP6)模擬面接を受ける

ある程度話す訓練を積んだら、模擬面接を受けてみましょう。
模擬面接は、1次試験の合格発表を待ってから取り組むのでは遅いので、それよりも前の時期から受け始めることをおすすめします。

タイミングとしては、すべての質問に完璧な回答を準備してからでは時間がもったいないので、ある程度話す練習をしたら模擬面接を受けてみたほうがよいと思います。

そこで受けた指摘を次回の模擬面接までに直すというように、フィードバックを受けながら修正を重ねていく方法が最も効率的に面接力を高めるのに有効です。
STEP5と6を同時進行していくようなイメージですね。

そのため、模擬面接は1回きりではなく複数回受けることをおすすめしています。
面接が大得意の猛者ではない限り、本番を想定した訓練はやはり必要ですから、最低でも2回以上は受けてみてください。

そして、2回目、3回目と模擬面接を受けていく際には、必ず前回の反省点を改善してから臨みましょう。
稀に、改善されていないまま次の模擬面接にトライする方がいますが、指摘された箇所を直さなければ何度模擬面接を受けても評価は上がりません。

(STEP7)質疑応答・反省点をまとめる

面接が終了したら、次の区面接までに質疑応答の内容と反省点を言語化しておきましょう。

どのような質問をされたか、その質問に対してどのような回答をしたかを整理しておけば、次に控えている区面接で活かすことができるからです。

反省点についても同様で、面接でうまく答えられなかった質問があったのであれば、次は答えられるように準備しておかなくてはなりません。

区面接で再度同じような質問をされることは十分あり得ますから、面接当日~数日以内の忘れないうちにしっかりとまとめておきましょう。

また、仮に面接がうまくいかなかった場合に、落ち込んでいるからとそのままにしてしまうのは非常にもったいないことです。
手応えがなくとも区面接に呼ばれる可能性はありますし、そこでの反省は他の併願先や来年以降の再チャレンジの際に必ず役に立ちます。

そのため、面接がうまくいってもそうでなくとも「復元するまでが第2次試験」だと思って、もうひと踏ん張り頑張ってほしいと思います。

まとめ

今回は、特別区受験生に向けて、面接対策の方法を解説しました。

冒頭でも説明したとおり、特別区の面接試験は配点が大きいといわれていますから、高得点を狙うことが求められます。

面接対策においては、特別区で過去に聞かれた質問等を知り、回答を準備し、繰り返し話す練習をすることで、着実に合格に近づきます。

面接試験に苦手意識を持っている方も多いかもしれませんが、初めから得意な人はほとんどいません。
何度も練習をして、ぜひ面接マスターになってほしいと思います。

なお、最終合格後に実施される区面接の対策とよくある質問については下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

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