特別区職員として働くためには、特別区採用試験に最終合格後、各区で行われる「区面接」で内定を獲得する必要があります。
そこで多くの受験生が気になるのが、「せっかく最終合格したのに採用漏れになることなんてあるのか?」「区面接で落ちることはあるのか?」という点だと思います。
そこで今回は、この「採用漏れ」についての現状と対策方法を徹底解説していきます!
- 「採用漏れ」とは?
- 採用漏れが発生する2パターン
- 区面接で不合格になる人の特徴
- 採用漏れを回避する方法
「採用漏れ」はあるのか?
まず前提として、「採用漏れ」とは何かというと、「最終合格したにもかかわらず、どこの区からも内定を得られなかった状態のこと」を指します。
せっかく最終合格したのに採用漏れなんてあるの?と思われるかもしれませんが、実はこの採用漏れ、残念ながら毎年のように発生しているのが現状なんです。
まず、採用漏れが発生することについて、そもそも特別区人事委員会は公式で否定をしていません。
ただし、欠員状況によっては提示されず、その結果採用されない場合もあります。
特別区Ⅰ類採用試験案内
上記の内容から、最終合格を果たしても提示されないことがあるということがしっかり明示されています。
※なお、提示とは「最終合格者を各区に推薦すること」であり、推薦された最終合格者は各区の区面接に呼ばれることになります。
次に、例年”最終合格者数>採用予定者数”となっている点からも、最終合格後の区面接でも選抜が行われることは確定事項であり、すべての最終合格者が採用されるわけではないことがお分かりいただけると思います。
これらの観点から、区面接には人事委員会面接と同様に万全の準備をして挑むべきなのですが、「不合格にはならないだろう」と油断した結果として採用漏れになるケースが多発しているのです。
採用漏れになるのはどんなとき?
それでは、採用漏れがどのタイミングで発生し得るのかを確認していきましょう。
最終合格後から内定または不合格までの流れを整理すると、下記のようになります。
※提示されないこともある
※辞退することもできる(STEP2に戻り次回の提示を待つ)
※区面接に不合格となったらSTEP2に戻り次回の提示を待つ
この中でSTEP2・3・5の赤字で示した内容が採用漏れにつながる部分で、まとめると下記のパターンに分類されます。
- 各区へ提示されなかったパターン(STEP2・3)
- 区面接には呼ばれたが不合格となったパターン(STEP5)
この2パターンの原因等について、さらに詳しく見ていきましょう。
(1)各区へ提示されなかったパターン
まずは、順位が低い場合や辞退した場合に発生しやすい「各区へ提示されなかったパターン」です。
特別区は最終合格の順位が高い順に提示されますので、順位が低いと区から連絡が来ないことがあります。
採用候補者名簿に登録されたからといって、受験生全員に声がかかるわけではないんですね。
連絡が来ないまま第2回、第3回…と提示日が過ぎ去り、一度も提示されないまま名簿有効期間が終了した結果として、採用漏れとなってしまうということです。
また、もし連絡が来ても、例えば「希望区ではないから」という理由で辞退をしたとします。
そうすると、あなたが辞退をしている間に他の受験生が内定を得ることになり、その結果区の採用枠が埋まってしまえば採用漏れとなります。

つまり何度も辞退していると、その間にどこの区も採用予定の枠が埋まっていきますから、提示の回数を重ねるごとに採用漏れのリスクは高まってしまうのです。
(2)区面接で不合格となったパターン
次に、そのものズバリ「区面接で不合格(不選択)となったパターン」です。
受験生の中には”区面接は形だけのもの”と誤解している方もいるかもしれませんが、少なくとも近年の区面接ではそのようなことはなく、Ⅰ類採用だけではなく経験者採用においても残念な結果に終わっている方が毎年発生しています。
区面接の連絡が来ると、これで決まった!とばかりに気が緩んで対策を怠ってしまう方がいますが、区面接で合格(内定)を得るまでは絶対に気を緩めてはいけません。
とはいえ、区面接で不合格となったあとも提示の機会はあります(提示1回のみの経験者採用2級職や障害者採用は除く)。
しかし、何度も不合格となると「各区へ提示されなかったパターン」と同様に、提示回数を重ねるごとに採用予定人数が埋まっていき、結果として採用漏れになる可能性が高まってしまうので注意しましょう。
区面接で不合格になる人の特徴は?
それでは、区面接で不合格となってしまうのはどのような人だと思いますか?
私の指導経験から申し上げますと、不合格者の特徴として最も多いのが区面接を”採用前提の面談”と捉えている点です。
たしかに区面接を受けられるのは最終合格者だけですから、そのように考えてしまうかもしれません。
しかし、23区統一の試験である人事委員会面接とは異なって、区面接はその区の職員を採用する試験であり、区ごとに採用基準や求める人物像が設定されています。
これは、23個の独立した自治体が各々採用試験を行っているのと同じです。
実際、区面接で使用する面接カードは区ごとに異なり、集団討論を課す区もあるくらいです。



つまり区面接は面談などではなく、れっきとした最終試験であると捉えるべきでしょう。
また、区面接は特別区全体ではなくその区について質問されることが圧倒的に多いのが特徴です。
区面接対策を疎かにして、本番で特別区全体の一般論ばかりを回答していると、面接官からの印象が悪くなる可能性もあります。
そのため、区の取組や課題について徹底的に研究しておくことが重要なのは明白です。
しっかりと希望区から内定を獲得している受験生は、最終合格後も気を抜かず区の街歩きをしたり計画書を読んでみたりと、地道な情報収集や努力を継続している方が多いです。
そうした本気の受験生と差をつけられないように、自治体研究はしっかりと行うことが必須といえるでしょう。
なお、具体的な区面接の対策方法とよくある質問については下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。


採用漏れを回避する方法
では、採用漏れを回避するためにはどうしたらいいのか?
これはとてもシンプルで、「筆記試験と面接試験の対策を徹底すること」に尽きます。
先ほど紹介した採用漏れの2パターンでは、「各区へ提示されなかったパターン」と「区面接には呼ばれたが不合格となったパターン」がありました。
このような事態に陥る主な要因は、
- 最終合格の順位が低いから
- 区面接の順位が低いから
の2つです。
それならば、皆さんがすべきことはその対極に位置することのはずです。
それはつまり、
- 筆記試験と面接試験(人事委員会面接と区面接)の対策を徹底すること
これしかないんですね。
最終合格者は公式に発表されているとおり、筆記試験と人事委員会面接の結果が総合的に判定されることで決定します。
第1次試験及び第2次試験の結果を総合的に判定し、最終合格者を決定します。
特別区Ⅰ類採用試験案内
つまり、最終合格の順位を上げるには、筆記試験と面接試験(人事委員会面接)で高得点を取らなくてはなりません。



※公表はされていませんが、多くの予備校で特別区は論文と面接の配点が高いと言われているため、特に論文と面接が重要です。
そして、最終試験である区面接も競争試験と心得て臨まなくてはならない。
とすれば、筆記試験も面接試験も綿密に対策していくことが重要であるというのは当然といえます。
そしてあわせて、辞退を繰り返すようなことはせず、これもご縁だと思って区面接に挑んでいく姿勢も必要でしょう。
まとめ
今回は、特別区受験生に向けて採用漏れの実態や対策方法について解説しました。
せっかく最終合格まで突破したのに、採用漏れとなってしまうのは本当に悔しいことです。
そのような事態にならないよう、内定を得るその瞬間まで気を抜かないことを大切にしてください。
そして筆記対策と面接対策に全力を注ぎ、何が何でも合格するぞ!という気合いで長丁場の試験を乗り切ってほしいと思います。