特別区Ⅰ類採用の受験申込みをする際には「面接カード」の提出が必須となります。
昨今、多くの自治体で面接カード形式が採用されていますが、特別区Ⅰ類の場合、3つの設問に対する回答を書かなくてはなりません。
今回は、特別区の面接カードの書き方や注意事項について、記入例を交えながら解説していきます。
- 面接カードの作成時期
- 面接カードを作成する際の注意事項
- 設問1~3の書き方(雛形と記入例アリ)
各設問ごとに細かく解説をしているので、特に特別区の受験が初めての方は参考にしてみてください。
面接カードとは?
特別区の「面接カード」とは、いわゆる「申込書」や「エントリーシート」のようなものです。
氏名や専攻学科、職歴などの基本項目以外に、3つの設問について記載しなくてはなりません。
3つの設問の内容は下記のとおりです。
(設問1)あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に入力してください。(250字以内)※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。
(設問2)あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、その中で最も困難だと感じたことと、それをどのように乗り越えたかを入力してください。(250字以内)
(設問3)目標達成に向けてチームで行った経験において、チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、ご自身の役割とともに入力してください。(250字以内)
出典:2024年度 特別区職員Ⅰ類採用試験 面接カード質問
これは2024年度の内容ですが、特別区の求める人物像に大きな変化がない限り、今後設問の内容が大きく変わる可能性は低いと考えられます。
したがって、2025年度以降の受験を検討している方は、直近のこちらの設問をもとに作成をしていけば問題ありません。
ただし、絶対に変更がないとは言い切れませんので、受験申込みが開始されたら、必ず申込画面で設問内容を確認するようにしてください。
特別区の面接カードは、第2次試験の面接で使用される非常に重要な書類です。
適当なものを作成するわけにはいきませんから、余裕を持って準備を進めていく必要があります。
なお、設問1に記載されている「3分間プレゼンテーション」については、別途、解説記事を作成しますので今しばらくお待ちください。
面接カードはいつから準備する?
面接カードの書き方等の説明に入る前に、面接カードの作成時期について説明したいと思います。
特別区の面接カードは、2022年度から受験申込みと同時提出になりました(「特別区職員採用試験・選考における面接カードの提出方法の変更について」出典:特別区人事委員会)。
あわせて紙の面接カードは廃止され、WEB上での提出となっています。
ここで、2024年度の試験の実施日程を確認しておきましょう。
受験申込期間 | 3月8日(金)~3月25日(月) |
---|---|
第1次試験日(筆記試験) | 4月21日(日) |
第2次試験日(面接試験) | 7月8日(月)~7月18日(木) |
特別区Ⅰ類の受験申込期間は、例年3月中旬~4月上旬でしたが、2024年度より1週間前倒しとなり3月上旬~下旬に変更となりました(それに伴い第1日試験日も1週間前倒しとなっています)。
いずれにせよ、この時期は筆記試験の直前期となりますから、面接カードの作成はもう少し早い時期に完成させておくと安心です。
面接カードの作成スケジュールについては、一例として下記を参考にしてみてください。
~12月 | 自己分析・自治体研究 |
---|---|
1~2月 | 作成・添削(1~3回程度)・推敲 |
2月末~3月上旬 | 完成 |
自己分析については、作成に時間がかかったり、思いのほか添削回数が増えてしまったりする可能性を考慮し、遅くとも12月中に完了させておくのがオススメです。
自治体研究については「~12月」としていますが、これは面接カードに落とし込むために区切っているだけですから、面接当日まで継続して行うようにしましょう。
また、作成について「2か月もいるの?」と思われるかもしれませんが、これは推敲も含めた期間です。
面接カードは、あとで見返すと「何か違うな」「もっとこうした方がいいかな」と修正を加えたくなるものですから、定期的に見返して客観的な視点で見ることを考慮すると必要な期間であるといえます。
そして、添削については、1回で終わる方もいれば3回以上かかる方もいます。
こればかりは必要な回数が人によって異なりますから、予備校やキャリアセンターなどで早めに添削依頼を出すようにしましょう。
250字以内というのは少ないようで実際に書いてみるとボリュームを感じる字数ですから、完成させるまでにある程度の時間がかかるものです。
「ギリギリに提出すればいいや」と悠長に構えていると、あっという間に直前期に突入してしまうので注意してくださいね。
面接カードを作成する際の注意事項8選
ここからは、面接カードを作成・提出する際の注意事項について紹介します。
(1)字数
字数については各設問240字以上を目安とし、可能な限り250字いっぱいを目指してほしいと思います。
多くの受験生は字数いっぱいに記載しているため、文章がスカスカだとそれだけで悪目立ちしてしまいあまり印象がよくないからです。
イメージとしては、記入欄の最後の1行が丸々と空欄にならないような字数です。
面接カードの内容だけではなく見た目にも気を配り、やる気のない感じが出ないようにしましょう。
また、システム上スペース(空白)・改行・半角英数字は使えませんので、全角文字のみで250字以内におさめるようにしなくてはなりません。
記号を使用する場合には、下記の記号のみが使用可能となります。
出典:2024年度 特別区職員Ⅰ類採用試験 面接カード質問
稀に言葉を強調する際などに括弧でくくる方がいますが、その場合「 」(かぎかっこ)は使用不可ですので、< >(やまかっこ)や、” ”(二重引用符)等で代用するとよいでしょう。
(2)文章表現・文体
意外と見落としが多いのが、言葉の表記や文章表現の統一です。
例えば、面接カードの設問1では「○○及び△△」や「私は□□に取り組み、」と表記しているのに、後半の設問では「○○および△△」や「私は□□に取組み、」のように、漢字とひらがなが混在していたり、送り仮名が統一されていなかったりすることがあります。
細かいようですが、こうした文章は第三者が読んだときに違和感を覚えますし、そもそも文書主義である公務員を目指す者として統一性のない文章は好ましくありません。
面接カードの文章も論文と同じように気を配り、必ずすべての設問の表記等をそろえて美しい文章となるように調整してほしいと思います。
また、文体については基本的に「敬体(です・ます調)」で記載しましょう。
一般に「常体(だ・である調)」は論文などで用いる文体であり面接カードには相応しくありませんので、終始敬体で統一するようにしてください。
(3)エピソード時期
基本は、鮮度の高い直近のエピソードを記載するようにします。
参考として、選定するエピソードの時期の目安を表にまとめてみました。
現在の立ち位置 | エピソードの時期(目安) |
---|---|
大学生 | 大学・高校時代 |
浪人生 | 大学時代 |
第二新卒(社会人経験1~3年) | 職場・大学時代 |
社会人経験4年以上 | 職場 |
基本は上記の時期を参考にしつつも、人によって細かな事情は変わると思いますので、自身の経歴とあわせて検討していってください。
(4)結論ファースト
全体の文章の構成にもよりますが、結論から書くのは面接カードの鉄則です。
よくあるのが、状況や理由などを先に書いてしまっているパターンですが、これでは初見の面接官にとって読みにくく、分かりにくい出来栄えとなってしまいます。
特に、面接官を担当する管理職は、日頃の業務で文章をたくさん見てきている人たちです。
読みにくい文章は「文章能力が低い」と判断されてもおかしくはなく、これは文章能力が必要な公務員にとって決して良い印象にはつながらないでしょう。
そのため、設問では「何を聞かれているのか」をよく確認した上で、結論から書くことを常に意識してほしいと思います。
これは論文対策でも同じことがいえますね。
(5)シンプルさ
自分のことをアピールをするための面接カードですから、あれもこれもと書きたくなる気持ちは分かりますが、その内容が面接官に伝わらなければ意味がありません。
あなたの面接カードを初めて見る人が分かる内容にしなくてはなりませんから、可能な限り不要な説明を省いたシンプルな構成を意識しましょう。
「どの部分が不要なのかが分からない」と思われる方もいるかもしれませんが、このあたりは客観的な判断が必要な部分でもあるので、どのような情報が必要でどのような情報が不要なのか、予備校などの添削によって第三者からの指摘を受けることをオススメします。
(6)一貫性
面接カードは、申込時から約3~4か月後の第2次試験の面接で使用されることになります。
提出してから実際に使用するまでに期間がかなり空いてしまうので、提出段階で自己分析からズレたことや嘘を記載していると、面接に入ってから自らの首を絞めることになります。
そのため、面接カードの作成にあたっては、面接のことを見据えた内容とすることを必ず意識してほしいと思います。
これは最も重要なポイントといっても過言ではありません。
これはつまり、ある程度自己分析の段階で、挑戦したい仕事や志望動機について固めておかなくてはならないということを意味します。
このことからも、面接カードの作成に早めに着手することの重要性がお分かりいただけると思います。
(7)他のエピソード
特別区の面接においては「他にはあるか?」と聞かれることが多々あります。
これは、特別区名物といってもよいですが、ここでは「他には攻撃」と称しておきましょう。
ここでいう「他には攻撃」とは、「他に”志望動機”は?」や「他に”やり遂げた経験”は?」、「他に”特別区の課題”は?」といったように、面接カードに記載している事柄や面接で述べたこと以外に、他の回答を求めてくる質問のことです。
もちろん、すべての受験生が「他には攻撃」を受けるとは限りませんが、ある程度の確率で聞かれることを踏まえると準備しておくべきといえます。
オススメとしては、各設問について2~3つほどエピソードを準備しておくことです。
例えば、設問1の「挑戦したい仕事」について、面接カードに記載するエピソードを1つ、控えのエピソードを2つといったような感じです。
設問1の「強み」に関しても、強みを2~3つ準備しておくようなイメージですね。
その中で、最もパンチのあるエピソードを面接カードに記載し、アピールの材料にしてほしいと思います。
(8)提出後の閲覧・修正
一度提出した面接カードは申込期間内・外にかかわらず、閲覧・修正することはできません。
これはとても重要なことですから、よく覚えておいてください。
すべての項目について入力内容に誤りがないか、よく確認をしてから送信しましょう。
また、面接カードは第2次試験の面接対策で使用することになるので、事前にスクリーンショットや印刷などで必ず手元に控えを残しておきましょう。
なお、面接カードを見ながら受験することはできませんので注意してください。
そして、面接カードの入力フォームはセキュリティ対策上、フォームを開いてから30分でタイムアウトする仕様になっており、かつ入力中のものをフォーム上に一時保存しておくことはできません。
制限時間内にすべての項目を入力して申込みを完了しなければならないため、あらかじめWord等に作っておいた文章を貼り付けて入力することをオススメします。
設問1の書き方
いよいよ本題である面接カードの書き方について、各設問の考え方やポイント等もあわせて解説していきます。
まずは設問1についてです。
あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に書いてください。(250字以内)※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。
この設問は、3つの中で最も重要な設問です。
特別区の志望動機に関わる重要な部分ですから、しっかり準備していきましょう。
特別区としては当然、自分の組織を第1志望としてる熱意のある受験生を採用したいと考えているので、ここの仕上がりが低いのはあまり印象がよくありません。
なお、3分プレゼンは設問1に関するプレゼンですから、3分プレゼンと設問1の内容に齟齬が生じないようにしなくてはなりません。
詳しくは3分プレゼンの解説記事で説明しますので、今しばらくお待ちください。
さて、設問を整理するために、内容を分解してナンバリングしていきます。
①あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、②あなたの強みと③志望動機も含めて具体的に書いてください。
分解してみると、次の≪3要素≫で構成されていることが分かりますね。
①挑戦したい仕事 | ②強み | ③志望動機 |
それぞれの要素の考え方について詳しく見ていきましょう。
①挑戦したい仕事
挑戦したい仕事では、携わりたい分野と絡めると書きやすいでしょう。
ここでの「分野」とは、「子育て支援」「災害対策」「観光振興」などといった、主に課単位で取り組んでいる事業のことを指します。
例えば、子育て支援に携わってみたいということであれば、「ひとり親家庭の支援拡充に挑戦したい」といった内容です。
単に「子育て支援に挑戦したい」だけだと、具体性が低く何をしたいのかがよく分かりません。
質問文にも具体的に書くよう指示があるので、どのような分野で何に取り組んでみたいのかについては深く掘り下げて考えておきましょう。
とはいえ、そもそも特別区職員がどのような仕事をしているのかについて理解が深まっていなければ具体性の高い内容は書けません。
そこで、下記に特別区職員の仕事を理解するための調査方法についてまとめてみました。
- 各区のホームページで調べる
- 各区のSNSで調べる
- 区役所を見学する
- 23区合同説明会に参加する
- 各区独自の説明会に参加する
- 新聞やテレビなどのニュースで情報収集する
個人的には、各区のホームページと説明会が分かりやすいと思います。
リアルで行われる説明会では、職員に質問できる時間を設けてくれることも多いですから、分からないことは直接聞いてみるとよいでしょう。
調べていく中で自分が興味のある仕事が決まったら、面接で聞かれる可能性の高い「その仕事を選んだ理由」まであわせて準備しましょう。
- 携わりたい分野と絡める
- 特別区職員の仕事を理解する
- その仕事を選んだ理由をまとめる
②強み
「強み」とは、個人の優れている能力や特性のことを意味します。
その強みが挑戦したい仕事(特別区の仕事)でどう活かせるのかという観点で考えていくようにしましょう。
強みを説明する際には、端的にあなたのアピールポイントが表せる言葉にすると面接官に伝わりやすくなります。
例えば「行動力」「傾聴力」などが挙げられますが、「〇〇ができる」など、「〇〇力」という表現にこだわらなくてももちろん構いません。
また、強みの探し方については、これまでの人生経験(学校生活、勉強、ゼミ、部活動、サークル、アルバイトなど)を振り返り、自分の行動や振る舞いから特性を抽出していくと見つかりやすいと思います。
家族や友人、サークルの先輩・後輩、アルバイト先の同僚など、身近な周囲の人に聞いてみるのもよいでしょう。
強みは面接でよく聞かれる質問の一つですから、その強みを培った背景や実際にその強みが活きたエピソードなど、関連する事柄についてもあわせて準備しておくようにしてください。
- 端的な言葉で表すと分かりやすい
- 仕事にどう活かせるかを考える
- 強みに関連する事柄も準備しておく
③志望動機
「志望動機」は、なぜ他でもない特別区を志望するのかという観点で考えていきます。
民間企業や市役所・町役場、都道府県庁など様々な組織がある中で、なぜ特別区を志望するのか?
これは人それぞれ理由が異なるので、まずは特別区に興味を持ったきっかけから丁寧に整理していくのがよいと思います。
例えば、きっかけの一つとして、地元が区内、大学が区内、説明会への参加などがありますが、そうしたきっかけが志望動機につながることは大いにあります。
また、他の組織と比較してどういう点に魅力ややりがいを感じたのかという観点で考えてみるのもよいでしょう。
一口に「公務員」といっても、〇〇省などで勤務する国家公務員もあれば、広域自治体と言われる都道府県庁など様々な組織があり、それぞれ職務内容がガラッと変わります。
民間企業とも仕事内容が大きく異なる場合が多いので、そうした「比較」という観点で考えてみると、特別区で挑戦したい仕事ともつながり、より説得力のある志望動機に仕上がるでしょう。
しかし、面接カードに記入できる分量には限りがあり、事細かな理由まで記載するのは現実的に不可能ですから、極限までシンプルにした内容や複数ある理由のうち一つのみを記載したりするなどして、コンパクトにまとめることは意識してください。
書ききれない部分や補足したい点については、面接で深掘りされた際に説明できればまったく問題ありません。
- 他でもない特別区を志望する理由であること
- きっかけから整理する
- 他の組織と比較する
- コンパクトにまとめる
設問1の雛形例・記入例
ここまで、設問1の≪3要素≫についての考え方を解説してきました。
まとめとして雛形の例を載せておきますが、あくまでも一例として参考にしていただければと思います。
もちろんこれ以外の構成でも大丈夫です。
【挑戦したい仕事】
- 私が挑戦したい仕事は○○です。
- ~をきっかけに○○に興味を持ちました。
【志望理由】
- ~の経験から特別区で働きたいと考えるようになりました。
【強み】
- 私の強みである□□を活かし、特別区における○○の課題解決に貢献します。
そして最後に、これまで説明してきたポイントをおさえた記入例を紹介します。
解説を参照しながら見てみてください。
私が挑戦したい仕事は、スポーツを通じた共生社会の推進です。私は、中学校時代からバスケットボール部に所属しています。大学では、区内のスポーツクラブで児童にバスケを教える機会があり、スポーツが地域の活力となっていることを実感しました。この経験から、今後は職員という立場で区のスポーツ振興に取り組みたいと考え、特別区を志望しました。スポーツを通して培った私の強みである行動力を活かし、年齢や性別、障害の有無等にかかわらず、全ての区民を対象としたスポーツ企画を実施し、活力のある特別区の実現に貢献します。(248字)
設問2の書き方
次に、設問2についてです。
あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、その中で最も困難だと感じたことと、それをどのように乗り越えたかを教えてください。(250字以内)
この設問では、あなたの課題解決力や実行力などがみられていると考えてよいでしょう。
特別区は基礎自治体の中でも規模が大きい組織のため、他の市役所等よりも多様な課題を抱えています。
そのため、「〇〇の経験から、特別区で働く際にも困難な課題を解決できる」とアピールできるようなエピソードを一つ選定しておきましょう。
さて、設問を整理するために、内容を分解してナンバリングしていきます。
①あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、②その中で最も困難だと感じたことと、③それをどのように乗り越えたかを教えてください。
分解してみると、次の≪3要素≫で構成されていることが分かりますね。
①やり遂げた経験 | ②最も困難だと感じたこと | ③どのように乗り越えたか |
それぞれの要素の考え方について詳しく見ていきましょう。
①やり遂げた経験
「やり遂げた経験」は、何かを達成した経験を書く必要があります。
例えば、学生時代のサークルやアルバイト、社会人時代の経験などにおいて、目標を達成した経験や壁にぶち当たった経験などが分かりやすいかと思います。
エピソードの選定基準としては、自分の様々な経験を振り返ったときに、「あの経験は誰が聞いても大変だったな」「あのときの自分はよく頑張ったな」と思えるような、困難度の高いエピソードやスケールが大きめのエピソードを選ぶようにしましょう。
- 何らかの事柄を達成した経験であること
- 困難度の高い or スケールが大きめのエピソードを選ぶ
②最も困難だと感じたこと
やり遂げた経験の中で、最も対応に苦慮した場面を整理しておきましょう。
面接においては、結果そのものだけではなく、課題を解決するためにどのような行動をしたのかが重要なポイントとなります。
よって、わりと簡単に解決できてしまうような内容は避けたほうがよいですね。
「そんなに困難だと感じた経験はない」と焦る方もいるかもしれませんが、見せ方次第で立派なエピソードになり得ますから、小さなエピソードを大きく見せる工夫をすれば大丈夫です。
「こんな困難(問題、課題)がある中で、こういう風に解決しました」という流れにしたいので、可能な限りより難しさをアピールできる内容を持ってくるようにしましょう。
- 最も対応に苦慮した場面を整理する
- 困難さをアピールできる内容とする
③どのように乗り越えたか
単なる結果だけではなく、具体的な過程を記載しなくてはなりません。
目標や課題を達成・解決するためにどのような工夫をしたのかについて、整理しておきましょう。
例えば、「自分の行動やアイディアによって達成できた」という主体性のあるエピソードや、「誰かと協力して解決した」という協調性のあるエピソードがあり得るでしょう。
実際に働く際に、目の前の課題にどう立ち向かう人物なのか、ポジティブな印象を持ってもらえるような構成を心がけてください。
- 具体的な過程を書く
- 主体性や協調性を意識する
設問2の雛形例・記入例
ここまで、設問2の≪3要素≫についての考え方を解説してきました。
まとめとして雛形の例を載せておきますが、あくまでも一例として参考にしていただければと思います。
もちろんこれ以外の構成でも大丈夫です。
【結論】
- 私は○○を達成しました。
【課題】
- その中で、~という困難がありました。
【解決策】
- これを解決するため、~に取り組みました。
【結論】
- この結果、○○を達成することができました。
そして最後に、これまで説明してきたポイントをおさえた記入例を紹介します。
解説を参照しながら見てみてください。
高校時代に、目標としていた甲子園でのレギュラー入りを果たした経験が挙げられます。私が通っていた高校は、甲子園の強豪校であったことから、レギュラー入りすることは容易ではありませんでした。そこで私は、皆と同じように練習に打ち込むだけではなく、自分の得意分野であった走塁を強化することに力を入れました。また、私はチームの中でもスタミナがあるほうだったため、持久走や筋トレの練習は誰よりもタフに行いました。これらの努力を続けた結果、高校3年生のときに念願のレギュラー入りを果たすことができました。(244字)
設問3の書き方
最後に、設問3についてです。
目標達成に向けてチームで行った経験において、チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、ご自身の役割とともに教えてください。(250字以内)
この設問では、チームワークがとれるかどうかや、チーム内での振る舞い方などがみられていると考えてよいでしょう。
一般的に、公務員の仕事はチーム(部・課・係・班)単位で行うものが多く、一人で完結する仕事はほとんどありません。
それは特別区も同じですから、「チームや周囲の人と協力して仕事ができる」とアピールできるようなエピソードを一つ選定しておきましょう。
さて、設問を整理するために、内容を分解してナンバリングしていきます。
①目標達成に向けてチームで行った経験において、②チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、③ご自身の役割とともに教えてください。
分解してみると、次の≪3要素≫で構成されていることが分かりますね。
①チームで目標達成した経験 | ②貢献につながった独自のアイディア | ③チームでの役割 |
それぞれの要素の考え方について詳しく見ていきましょう。
①チームで目標達成した経験
何らかの目標に向けてチームで取り組み、達成した経験を書く必要があります。
「チーム」というのは、例えば、ゼミ、ボランティア活動、部活動、サークル、アルバイトなど、複数人で取り組んだ活動のことを指します。
社会人経験がある場合には、職場での経験も含まれます。
例えば、「〇〇部でベスト8進出」や「職場で営業成績1位」など、指標となるものがあると分かりやすくて尚よいですね。
また、エピソードの選定については、設問2と同様、可能な限り困難度の高いエピソードやスケールが大きめのエピソードを選ぶようにしましょう。
最終的にはチームで目標を達成したエピソードでなくてはいけないので、中途半端に達成したエピソードは選ばないように注意してください。
- 複数人で取り組んだ活動とする
- 困難度の高い or スケールが大きめのエピソードを選ぶ
②貢献につながった独自のアイディア
「独自のアイディア」と聞かれると、多くの受験生は難しく考えてしまいがちだと思います。
ここでの「独自」とは、「自分なりのアイディア」と考えればよく、何かとんでもなく素晴らしいアイディアを求められているわけではありません。
学生としてサークルやアルバイト、あるいは社会人を数年しか経験していないみなさんにとって、とんでもないアイディアを出した経験がある人は少数派だと思います。
面接官もそれは承知の上ですから、自分なりの考えでチームに貢献した経験を記載できれば問題ありません。
- 「独自」=「自分なり」と解釈する
③チームでの役割
ここでの「役割」とは「立場」と解釈してよいでしょう。
必ずしも「役職」にこだわる必要はありませんから、「役職は特になかった」という方もご安心ください。
また、「リーダーでないとダメなのか」と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
もちろん、リーダーシップを発揮してチームを引っ張った経験があるのであれば、それはそれで素晴らしいことですし、面接で十分にアピールできる内容です。
しかし、チームの中にはリーダー以外にも、サブリーダーや縁の下の力持ちのようなサポータータイプの役割もいますよね。
職員として働く際に、チームの中でどのような振る舞い方をする人物かをみられているだけですから、必ずしもリーダーという役割にこだわる必要はありません。
ただし、例えば面接で、サポート役である話をしたあとに「これまでリーダーの経験はまったくないのか?」と聞かれることがあります。
その際には、「まったくありません」と答えるのもあまり印象がよくないので、多少なりとも人を取りまとめた経験については整理しておくとよいでしょう。
- 「役割」=「立場」と解釈する
- リーダー・サポーターのどちらでもOK
設問3の雛形例・記入例
ここまで、設問3の≪3要素≫についての考え方を解説してきました。
まとめとして雛形の例を載せておきますが、あくまでも一例として参考にしていただければと思います。
もちろんこれ以外の構成でも大丈夫です。
【結論】
- 私は~の活動において、チームで○○を達成しました。
【役割】
- その中で私は~の役割を担い、
【解決策】
- ~という独自のアイディアを提案しました。
【結論】
- この結果、チームの~に貢献し、○○を達成することができました。
そして最後に、これまで説明してきたポイントをおさえた記入例を紹介します。
解説を参照しながら見てみてください。
大学のゼミ活動で、研究発表を成功させた経験です。当初は、初めての研究活動だったこともあり、研究内容の方針が定まらない状況でした。そこで私は、リーダー役に立候補し、全体の取りまとめを担うことにしました。まず、各メンバーの希望や特性を考慮しながら分担表を提示し、それぞれの役割を明確にしました。次に、発表までのスケジュールを作成し、メンバーごとの進捗を全体で共有することで、フォローし合いながら進める体制を構築しました。最終的には、研究発表を成功させることができ、教授からはお褒めの言葉をいただきました。(250字)
まとめ
今回は、特別区の面接カードの書き方や注意事項について解説しました。
面接カードの作成においては、実際の面接を見据えながら、問われていることに簡潔に分かりやすく答えることがとても重要です。
また、ご覧いただくと分かるとおり、特別区の仕事について調べたり、自分の強みのエピソードを整理したりと、たった3つの設問を完成させるだけでも結構な労力がかかるものです。
筆記試験と同時並行の作業になりますから、くれぐれも申込み期間ギリギリでの提出にならないように早めに着手してくださいね。
なお、特別区の面接対策とよくある質問については下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。