【特別区】希望区選びに使えるオススメ区ランキング!2025年度最新版

特別区の採用試験においては、申込み(エントリー)時に「希望区」を選ばなくてはなりません。
とはいえ、23区+3組合もの中からどのように選べばいいのか分からないという方も少なくないと思います。

そこで今回は、特別区Ⅰ類、Ⅲ類、経験者、氷河期、障害者採用のすべての受験生に向けてオススメ区ランキングを作成しました。

この記事で分かること
  • トピック別に見るオススメ区ランキング
  • オススメの希望区の選び方

ぜひ希望区選びの参考にしてみてください!

目次

希望区とは?

特別区にエントリーをする際には下記の26組織(23区+3組合)の中から3つまで(※)を選択することになり、これを「希望区」といいます。

選択できる組織は下記のとおりです。

23区千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区
3組合特別区人事・厚生事務組合、特別区競馬組合、東京二十三区清掃一部事務組合

希望区はすべての採用区分(Ⅰ類、Ⅲ類、経験者、氷河期、障害者採用)において必要な入力項目です。

仮に「どこの区に採用されてもいい」と思っていたとしても、希望区は必ず提出しなくてはならないものですから、申込みまでにあらかじめ決めておく必要があります。

なお、希望区の変更については下記の記事内で解説していますので参考にしてみてください。

※江戸川区のみは「専願制」という特殊な形式をとっているため、江戸川区職員になりたい場合は江戸川区のみを第1希望区として提出することになります。
また、障害者採用の場合は5つまで希望区を提出することができます。

ランキングの選定方法について

オススメ区ランキングを決めるにあたっては、23区+3組合の特徴がバラバラのため、何らかの統一した指標を定めなくてはなりません。

しかし、特別区は他の市役所等とは異なり、勤務時間や福利厚生などが「特別区職員」として統一されています。
どの区で働いたとしても勤務条件が大きく変わることはないため、それらを指標に加えてもあまり意味がないということですね。

また、「各区の採用倍率(の低さ)から採用されやすそうな区を選ぶ」という方法も考えられますが、特別区の採用試験では各区の採用倍率は公表されていません。

そこで今回は、元特別区職員である私の独断と偏見で下記のような指標を定めランキングを作成してみました。

  • 最寄り駅からの所要時間
  • 庁舎の新しさ
  • 財政力指数
  • 有給休暇取得率
  • 家賃相場
  • 職員住宅の有無

そのほかにも様々な指標はありますが、公務員として長く働いていく上で個人的に優先するとよいと感じたものをピックアップしましたので参考にしてみてください。

※なお、ランキングで挙げている区の順番は行政番号順としており、同順位の場合に優劣はありません。

オススメ区ランキング!

それではさっそく紹介していきましょう!

(1)実際に歩いてみるのがオススメ!最寄り駅からの所要時間で選ぶ

まずは、最寄りの鉄道駅から本庁舎への所要時間を基準に選定してみました。

昨今ではテレワークを実施している区もありますが、公務員たるもの基本的には通勤がゼロになることはないと思いますので、駅から近いほうがいいのは言うまでもないでしょう。

なお、選定にあたっては私自身の経験も踏まえ下記のルールとしてみました。

  • 通勤方法として鉄道以外(バス・車など)は除外し、最寄り駅から徒歩での所要時間を対象とする。
  • 複数の最寄り駅や路線がある場合は、最も所要時間の短いルートを採用する。
    ※例)徒歩10分と徒歩1分のルートがあった場合は徒歩1分を採用する。
  • 所要時間が短くても、あまりメジャーな路線ではない場合は除外する(多くの受験生に当てはまらないため)。
  • 区の分庁舎や清掃組合の清掃工場等、本拠地以外の庁舎は除く。

ランキング発表

それではランキングを見ていきましょう。
このランキングについては、各区のホームページから情報を集めトップ3にまとめました。

順位区名所要時間
第1位中央区、文京区、大田区、杉並区、板橋区、人厚組合、清掃組合1分
第2位豊島区、競馬組合2~3分
第3位千代田区、港区、新宿区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、北区、練馬区5分
出典:各区ホームページ

第3位は、本庁舎まで徒歩約5分である千代田区、港区、新宿区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、北区、練馬区の10区がランクインしました。
実際に歩いてみると改札までの距離などが異なるため、5分といっても若干変動はあると思います。

第2位は豊島区と特別区競馬組合で、それぞれ豊島区役所までは東京メトロ有楽町線「東池袋駅」から徒歩3分、特別区競馬組合までは東京モノレール「大井競馬場前駅」から徒歩2分となっています。

豊島区は本庁舎まで地下通路で直結のため、天候が悪い日もスムーズに通勤できるのは大きなメリットだと思います。
なお、あまりメジャーではありませんが、都電荒川線「都電雑司ヶ谷駅」からも徒歩3分となっています。

特別区競馬組合は基本的に大井競馬場での勤務となり、モノレール以外だと京浜急行線「立会川駅」の徒歩12分です。

そして、栄えある第1位は中央区、文京区、大田区、杉並区、板橋区、特別区人事・厚生事務組合、東京二十三区清掃一部事務組合の7区・組合でした。
1位に7つも挙げるなんて卑怯だ!と思われるかもしれませんが…お許しください。
これらの区・組合はすべて「最寄り駅から徒歩約1分程度」の同着1位となります。

それぞれ他の路線ルートを利用したとしても徒歩約10分以内で着くことができるため、通勤のしやすさとしては申し分ないでしょう。
ただし、板橋区のみに関してはJR埼京線「板橋駅」を利用すると徒歩15分かかるため注意が必要です。

さて、こちらのランキングをご覧いただいた皆さん、「どの区もそこまで変わらないな」と思われたのではないでしょうか。
まったくそのとおりで、ランキング外のほとんどの区も徒歩10分以内であり、実はどの区もそこまで大きな違いはなくアクセスのよい駅チカの区ばかりなのです。

そのため、徒歩通勤を念頭に置いたときには「どの区も通いやすい」というのが正直なところです。

ただし、江戸川区、足立区、荒川区、世田谷区の4区は例外です。
江戸川区は複数の駅の真ん中らへんに位置しており徒歩ではやや遠いため、基本的にはバス通勤となることを想定しておきましょう。

そのほか、足立区は徒歩約12~15分とやや遠めである点、荒川区は駅によってはバスを利用したほうがいいこともある点、世田谷区は東急世田谷線というローカル線を利用しなくてはならない点に注意が必要です。

また、例えば新宿区のように繁華街の中に区役所が位置している場合もあるため、実際に現地に行って周辺環境もチェックすることをオススメします。

(2)庁舎の新しさで選ぶ!改修スケジュールを要チェック

庁舎の新しさってそんなに大事ですか?と思われる方もいるかもしれませんが、個人的には仕事をする上で重要な指標の一つだと思っています。

庁舎が新しい=職場全体が明るい、設備が新しい(デスク周りや水回りが綺麗、空調が整っているなど)ということもあり、職場環境のよさは仕事へのモチベーションにつながると思うからです。

実際、私はこれまで区役所を含めて様々な庁舎を見て回ってきましたが、正直古い庁舎はエアコンの効きが悪かったり、なんとなく雰囲気がどんよりしていたりするところが少なくないなと感じました。

庁舎はだいたい40~50年前後で建て替えや大規模改修工事に入ることが多く、近年多くの区においてちょうど更新の時期を迎えているところです。

なお、選定にあたっては下記のルールとしてみました。

  • 新庁舎への移転や大規模改修工事が予定されている場合、3年以内に移転・改修予定の区のみを対象とする(あまり先だと新庁舎の恩恵が減るため)。
  • 分庁舎は除く。

ランキング発表

それではランキングを見ていきましょう。
このランキングについても、各区のホームページから情報を集めトップ3にまとめました。

順位区名築年数
第1位品川区、世田谷区、中野区0~1年以内
第2位港区、渋谷区5年
第3位台東区、豊島区、板橋区10年以内
出典:各区ホームページ

第3位は台東区、豊島区、板橋区で、それぞれ築年数10年以内とまだまだ新しさを感じます。

第2位は港区と渋谷区です。
港区は竣工から30年以上が経ったところで大規模改修工事が実施され、2019年に様々な設備が更新されました。
渋谷区も2019年に新庁舎へ移転しており、こちらもとても綺麗で立派な建物となっています。

そして第1位は品川区、世田谷区、中野区です。
品川区は2027年に移転が予定されており、世田谷区は順次工事に入っているところです。
中野区は2024年に新庁舎への移転が完了したため、気になる方は見に行ってみるとよいでしょう。

また、少し先になりますが、現在下記の区でも新庁舎の建て替えや改修工事が検討されているため参考にしてみてください。

  • 葛飾区(2028年頃)
  • 中央区(2030年頃)
  • 江戸川区(2030年頃)
  • 北区(2033年頃)
  • 新宿区、江東区(2035年頃)

(3)「カネ」を重視するなら財政力指数の高さで選ぶ!

財政力指数とは各自治体の財政力を示す指数のことで、「基準財政収入額÷基準財政需要額」で算出されます。
財政力指数が高いほど財源が豊かであり、指数が1.0を下回るほど財政力が低いと判断することができるでしょう。

基本的に東京23区の自治体であればお金のことについてそこまで気にする必要はないと思いますが、指標の一つとして参考になると思いまとめてみました。

ランキング発表

それではランキングを見ていきましょう。
財政力指数の高い順にランキング化しトップ10にまとめました(3組合は除く)。

順位区名財政力指数
第1位港区1.20
第2位渋谷区0.97
第3位千代田区0.87
第4位目黒区0.74
第5位世田谷区0.70
第6位新宿区0.67
第7位中央区0.66
第8位文京区0.63
第9位杉並区0.61
第10位品川区0.57
出典:東京都総務局行政部区政課『令和4年度 特別区決算状況』

第1位から順に港区、渋谷区、千代田区となっており、なんとなくイメージどおりな感じはしますね。
最下位である荒川区、葛飾区の0.35を踏まえるとトップとの差が大きいといえます。

区がお金を持っているか否かというのは、例えば一例として、その区の「取組」に影響を及ぼす可能性があるかもしれません。
〇〇区ではこんな大規模な取組ができるが、△△区ではそこまではできないまたは後回しになるということは十分あり得るでしょう。

23区の中でも「お金持ちの自治体」を重視するのであれば、上記のトップ10を参考にしてみてください。

(4)働きやすさに直結!有給休暇取得率で選ぶ

特別区では年次有給休暇は20日(初年度は15日)与えられます。
有給休暇は誰もがしっかり取得したいものだと思いますので、直近の令和4年度の実績をもとにランキングを作成しました。

ランキング発表

それではランキングを見ていきましょう。
このランキングについては、各区のホームページから情報を集めトップ10にまとめました。

順位区名有給休暇取得率(日)
第1位千代田区17.9
第2位文京区17.8
第3位江東区17.1
第4位足立区16.8
第5位目黒区16.6
第6位江戸川区16.4
第7位世田谷区16.3
第8位北区16.25
第9位墨田区16.2
第10位港区、渋谷区16.1
出典:令和4年度 人事行政の運営等の状況(各区ホームページ)

トップ10のすべての区で16日以上取得できており、23区全体では約15.8日取得されています。
有給休暇の取りやすさは「区」というよりも「部署」による部分も大きいですが、これだけ取得できていれば基本的にどの区を選んでもあまり変わらないと考えられます。

また、この日数は民間企業における有給休暇の取得日数を超えています。
令和4年就労条件総合調査によると、企業規模1000人以上における労働者1人あたりの有給休暇は平均18.3日付与され、うち12.0日を取得しているというデータがあります。

これを踏まえると、民間企業よりもしっかり取得できている点は安心ですね。

(5)区内に住むなら家賃相場の低さで選ぶ!

特別区への就職や転職を機に、区内へ引っ越すことを検討している受験生も多いことと思います。
基本的に23区内の家賃は全国の中でも高いほうですが、条件(最寄り駅からの徒歩時間、築年数など)を緩めることである程度抑えることも可能です。

もちろん特別区へ就職したからといって必ずしも区内に住む必要はなく、近隣の東京都市部、千葉県、埼玉県、神奈川県などから通っている職員も数多くいます。

しかし、都内の多くの鉄道は乗車率100%を超え激混みであることを踏まえると、通勤時間を最小限に抑えてQOLを上げるために近くに住むというは大いにアリだと個人的には思います。
(私は少し遠かったので毎日の通勤が大変でした…)

ランキング発表

それではランキングを見ていきましょう。
家賃相場の低い順にランキング化しトップ10にまとめました(3組合は除く)。

順位区名家賃相場(万円)
第1位葛飾区7.23
第2位足立区7.32
第3位練馬区7.63
第4位江戸川区7.66
第5位板橋区8.45
第6位杉並区8.56
第7位荒川区8.66
第8位大田区8.88
第9位北区8.94
第10位中野区9.01
出典:LIFULL HOME’S 東京23区ワンルーム・1K・1DK/マンションの相場表(2024年9月末時点)

上記の表から、いわゆる城東・城西・城北エリアの相場が比較的低めであることが分かりますね。
都心・副都心エリアは他のエリアと比較して高めです。

トップ10のエリアであればワンルーム・1K・1DKで平均約7万2000円~9万円程度で借りることができますが、マンションやファミリータイプとなるとここからさらに数万円プラスになります。

「やはり都内は高いな」と感じる方もいるかもしれませんが、特別区では住居を借りる際に下記のとおり住居手当が支給されます。

年度末の年齢支給額
27歳以下27,000円
28~32歳17,600円
33歳以上8,300円
特別区の住居手当

33歳以上でも基本手当として8,300円は支給されるため、住居手当分も加味して検討してみるのもよいでしょう。

(6)なるべく家賃を抑えたい!職員住宅の有無で選ぶ

こちらはランキングというよりも「あるか・ないか」を指標にしました。

基本的にはどの区も職員住宅があります。
区によって名称が異なり、そのまま「職員住宅」と呼ぶ場合もあれば、新宿区のように「防災職員住宅」、中野区のように「防災要員住宅」と呼ぶ場合もあるため興味のある方は検索してみてください。

職員住宅は災害発生時に迅速に対応できる職員を確保するために設けられていることが多いため、このような名称となっています。
区によって設置数も異なり、例えば港区では約180戸あるのに対し、文京区では約50戸となっています。

基本的に3組合(特別区人事・厚生事務組合、東京二十三区清掃一部事務組合、特別区競馬組合)には職員住宅がないため、区を選ぶ際に職員住宅を重視している方は3組合を除外したほうがよいでしょう。

最もオススメの希望区の選び方は?

さて、ここまでオススメ区ランキングについて見てきましたが、「所要時間」や「財政力指数」など、やや味気のないランキングに感じた方も多いのではないでしょうか。

それもそのはずです。
これらのランキングには、「あなたと区とのつながり(縁やゆかり)」や「あなたの好み」等が一つも反映されていないからです。

  • 「地元が〇〇区である」
  • 「〇〇区で実施されている△△の取組に興味がある」
  • 「毎日〇〇区内の大学に通っている/〇〇区に住んでいる」
  • 「〇〇区の街やお店の雰囲気が好き」

このような受験生ごとに異なる事情は、共通の指標で図れるものではありません。
本記事では客観的に比較するために何らかのデータを集めてオススメ区を紹介したものの、あくまでもこれらは単なるデータにすぎないのです。

そのため、最後に最もオススメの希望区の選び方として「自分が働いてみたいと思う区を選ぶこと」を挙げたいと思います。

「え?そんなの答えになってない!時間を返せ!」と思われる方もいるかもしれませんが、実際のところ、「どの区がオススメですか?」と聞かれても人によってこれまで歩んできた人生や価値観は異なりますから、残念ながら一概にお答えすることはできません。

「働きたい区ってどう選べばいいのか分からない」という方は、まずは自治体研究やまち歩きなどの地道な作業を行っていく必要があるでしょう。
その区に足を運び、実際の庁舎やまちの雰囲気、職員や区民の様子などを確かめてみることで「ここイイな」と思える区が出てくるはずです。

実際、私自身も受験生として希望区を決める際、検討していた区はすべて回りました。
このような地道な作業があったからこそ、面接本番でも誰の受け売りでもない自分の経験に基づいた説得力のある説明ができたのだと自負しています。

また、この先何十年と働き続けることを考えると「働きたい区」を選ぶことの重要性がお分かりいただけるのではないでしょうか。
適当になんとなく選んで採用された区よりも、「ここだ!」と思える区で働いたほうがモチベーションややる気にもつながるのは確実です。

遠方に住んでいてなかなか区内に行くことが難しい方でも、「区について自分なりに深く調べること」は徹底してほしいと思います。
職員になってから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、自分なりの軸を定めて希望区選びをしてみてください。

まとめ

今回は、すべての特別区受験生に向けてオススメ区ランキングを紹介しました。

本記事で紹介した指標を参考にしつつ、自分が本当に働きたい区を選んで筆記・面接対策を進めていってほしいと思います。

なお、特別区の面接対策については下記2つの記事で解説していますので参考にしてみてください。

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