【特別区】試験制度を徹底解説!倍率・難易度・対策方法について理解しよう|2025年度版

本記事では、特別区Ⅰ類の事務区分「一般事務」「ICT」を受験する方向けに、倍率や難易度、対策方法について詳しく解説していきます。

この記事で分かること
  • 特別区Ⅰ類の試験制度
  • 受験申込みから内定までの流れ
  • 倍率・難易度
  • 受験にあたっての注意点
  • 併願のポイント

特別区の試験を受験するにあたっては、効率的な学習を進めるためにもまずは全体像を把握しておく必要があります。
初めて受験する方にも分かりやすくまとめていますので、特に初学の方は飛ばさずに最後までお読みいただくことをオススメします!

目次

「特別区」とは?

細かい試験制度の説明に入る前に、まずは特別区の概要について確認しておきたいと思います。

「特別区」とは東京23区(渋谷区、世田谷区など)のことで、それら各区の区役所で働く地方公務員のことを「特別区職員」といいます。

23区は各区とも独立した自治体ではあるものの、職員の採用試験は共同で行っており、特別区職員として働くためには「特別区採用試験」に最終合格しなくてはなりません。

特別区採用試験の採用までの流れを簡単に表すと、下記の3ステップとなります。

STEP
第1次試験
  • 特別区人事委員会が共同で実施する筆記試験
  • ここで合格すると、第2次試験を受ける権利を得る
STEP
第2次試験(通称:人事委員会面接)
  • 特別区人事委員会が共同で実施する面接試験
  • ここで合格すると「最終合格」となり、区面接を受ける権利を得る
STEP
各区ごとの採用試験(通称:区面接)
  • 各区が独自に面接試験や集団討論を実施する
  • ここで合格すると「内定」となる

また、特別区採用試験は主に「Ⅰ類採用」「Ⅲ類採用」「経験者採用」「氷河期採用」「障害者採用」の5つの採用区分に分かれており、それぞれ自分の年齢や職務経験等の受験資格に合った区分で試験を受けることになります。

採用区分ごとの主な対象者は下記のとおりです。

採用区分主な対象者
Ⅰ類採用大学生
Ⅲ類採用高校生
経験者採用社会人
氷河期採用就職氷河期世代の人
障害者採用障害を持っている人

これらの採用区分の中でさらに「事務(一般事務)」「事務(ICT)」といった事務職や「土木」「建築」「福祉」などの専門職に分かれており、自分の希望する職種を選択して受験していきます。

試験枠の種類は3つ

「Ⅰ類採用」は大きなくくりの呼び方であり、この採用区分の中でさらに複数の試験枠に分かれています。

①春試験②秋試験③早期SPI枠
特別区Ⅰ類の試験枠の種類

もともと特別区Ⅰ類は「一般方式」という1つの枠で長年試験が行われてきましたが、2023年度から「春試験(旧一般方式)」と「秋試験」の2枠が実施されるようになりました。
さらに2025年2月から「早期SPI枠」が新設されることになり、全部で3つの試験枠となっています。

早期SPI枠とは、1次試験がSPI(適性検査)のみのテストセンター方式のもので、いわゆる”公務員試験の対策が不要な試験”です。
全国どこからでも試験日を選択して受験することができるため、従来よりも格段に受けやすい試験枠といえるでしょう。

また、春試験は教養試験や専門試験などが課される一般的な公務員試験のことで、最も採用人数が多く、多くの受験生はこの枠を受けることになろうかと思います。

現状、事務(一般事務)は春試験と早期SPI枠で募集されており、事務(ICT)は春試験でのみ募集されているため、自分がどの試験枠を受けるのかよく確認しておきましょう。

表にまとめると下記のとおりです。

試験区分春試験秋試験早期SPI枠
一般事務
ICT
○…募集あり ✕…募集なし

なお、春試験と早期SPI枠は併願できない点に注意が必要です。
どちらか一方の受験となるため、申込み時点でどちらの枠で受験するのか確定させておかなくてはなりません。

春試験と秋試験は従来から併願することができますが、現状の秋試験では「土木」や「建築」など専門職のみの募集となっているため、一般事務を受験する場合は実質的には併願できないと考えておきましょう。

試験枠の変更点まとめ

「早期SPI枠」が新設される(募集は2025年2月から開始)

試験枠の注意点まとめ
  • 「春試験」と「早期SPI枠」は併願することができない
  • 「春試験」と「秋試験」は併願することができる

受験資格

特別区Ⅰ類における2024年度の受験資格は下記のとおりです。

日本国籍を有する人で、平成5(1993)年4月2日~平成15(2003)年4月1日までに生まれた人

Ⅰ類採用は主に大学生を対象とした試験のため、申込み可能年齢は22歳~31歳となっています。

ただし、大学生や大学卒業見込みである必要はなく、国籍と年齢要件さえ満たせばよいため、大学中退や専門学校卒、高卒でも受験することは可能です。

※すべての試験枠で同じ受験資格です。

試験日程

特別区Ⅰ類(春試験)における2024年度の試験日程は下記のとおりです。

告示3月8日(金)
申込受付期間3月8日(金)~3月25日(月)
第1次試験(筆記試験)4月21日(日)
第1次試験合格発表6月14日(金)
第2次試験(面接試験)7月8日(月)~7月18日(木)の間で指定された1日
第2次試験(最終)合格発表7月30日(火)
各区ごとの採用試験(面接試験等)8月上旬~
内定8月中旬~
2024年度 特別区Ⅰ類(春試験)試験日程

告示とは試験の詳細(試験日程や各区の募集人数など)が発表される日のことで、告示と同時に申込みがスタートとなります。
早ければ申込みから半年で内定が決まるスケジュールとなっていますね。

なお、早期SPI枠のスケジュールは下記のとおりです(現在公開されている情報のみ)。

告示2月前半
申込受付期間2月前半~
第1次試験(SPI)3月前半(2週間)
第2次試験①4月中旬
第2次試験②5月前半
第2次試験(最終)合格発表5月下旬
2025年度 特別区Ⅰ類(早期SPI枠)試験日程

受験の流れ

特別区Ⅰ類(春試験)の受験申込みから内定までの流れをおさえましょう。

STEP
申込み(3月上旬~下旬)
STEP
第1次試験[筆記試験](4月下旬)
STEP
第1次試験合格発表(6月中旬)
STEP
第2次試験[面接試験](7月上旬~中旬)
STEP
第2次試験(最終)合格発表(7月末)
STEP
各区ごとの採用試験[面接試験等](8月上旬~)
STEP
内定(8月中旬~)

これらの各STEPごとに、詳しく解説していきます。

(STEP1)申込み

試験の申込み(エントリー)はWEBで行い、主に下記の内容を入力します。

申込み時に入力する内容
  • 氏名や学歴などの個人情報
  • 採用を希望する年度
  • 採用を希望する区(3つまで)
  • 面接カード(設問3つ)

これらのうち、「②採用を希望する年度」、「③採用を希望する区(3つまで)」、「④面接カード(設問3つ)」について補足説明をしておきます。

採用を希望する年度

2024年度から採用候補者名簿の有効期間が原則3年間に延長されたことに伴い、「採用を希望する年度」を選択できるようになりました。
従来は名簿の有効期間は1年間のみでしたから、これは大きな制度変更といえるでしょう。

また、採用年度も従来は翌年度のみの採用でしたが、翌年度・翌々年度・翌々々年度の3つから選べるようになりました。
例えば2025年度受験生なら、2026年度(翌年度)・2027年度(翌々年度)・2028年度(翌々々年度)採用のいずれかを希望することができます。

ただし、通常であればストレートに翌年度の採用を希望することになると思いますので、そこまで影響のない受験生も多いかもしれません。

採用希望年度は受験申込みの際に申告することになっているので、申込みの時点で採用希望年度を確定させておかなくてはならない点に注意が必要です。

また、採用希望年度を変更したい場合には、第1次試験合格発表日~区面接の合格連絡前までに申し出ると変更できるようになっています。

名簿等における変更点まとめ
  • 名簿の有効期間が原則3年間に延長された
  • 採用年度が選択制となった
採用希望年度における注意点まとめ
  • 申込みの時点で採用希望年度を確定させておかなくてはならない
  • 採用希望年度を変更したい場合、第1次試験合格発表日~区面接の合格連絡前までに申し出る

採用を希望する区(3つまで)

いわゆる「希望区」と呼ばれるもので、23区+3組合の中から自分が行きたい(働きたい)区を3つまで選択することができます。

ただし、希望したからといって必ずその区で働けるわけではありません。
合格順位が高い受験生から順に希望区から呼ばれるため、希望区に行きたければ高順位で最終合格することが求められます。
このあたりは後ほど詳しく解説しますね。

なお、希望区を選ぶにあたっては「どこにしよう?」と様々悩むこともあろうかと思います。
下記の記事ではオススメ区ランキングについて解説していますので、希望区選びの参考にしてみてください。

面接カード(設問3つ)

面接カードでは、下記の3つの設問に回答する必要があります。

(設問1)あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に入力してください。(250字以内)※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。

(設問2)あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、その中で最も困難だと感じたことと、それをどのように乗り越えたかを入力してください。(250字以内)

(設問3)目標達成に向けてチームで行った経験において、チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、ご自身の役割とともに入力してください。(250字以内)

出典:2024年度 特別区職員Ⅰ類採用試験 面接カード質問

面接カードは第2次試験で使用する重要書類です。
申込み時に提出しなくてはならない点で、面接カードの作成が受験生にとって実質的な1次試験ともいえるでしょう。
提出後の修正等はできませんので、構成や内容をしっかりと考えた上で作成しなくてはなりません。

具体的な面接カードの書き方や注意点については、下記の記事で解説していますので参考にしてみてください。

(STEP2)第1次試験[筆記試験]

特別区Ⅰ類(春試験)の第1次試験は筆記試験で、「教養試験」「専門試験」「論文試験」の3つで構成されています。
難易度はいわゆる「大学卒業程度」というものです。

公務員試験の難易度は主に「大学卒業程度(上級レベル)」「高校卒業程度(初級レベル)」といわれるレベルに分けられますが、特別区Ⅰ類の教養試験の難易度は「大学卒業程度」のほうで、難しい問題が出てくることもしばしばあります。

詳しい出題内容は下記のとおりです。

教養試験
(120分)
■5肢択一のマークシート式 ※()は出題数
①28題を必須解答
現代文(5)、英文(4)、判断推理(6)、数的処理(5)、資料解釈(4)、空間把握(4)
②20題中12題を選択解答
人文科学[倫理・哲学、日本史、世界史、地理](4)、社会科学[法律、政治、経済](4)、自然科学[物理、化学、生物、地学](8)、社会事情(4)
専門試験
(90分)
■5肢択一のマークシート式(55題中40題を選択解答・各5題)
憲法、行政法、民法①[総則・物権]、民法②[債権・親族・相続]、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、経営学、政治学、行政学、社会学
論文試験
(80分)
・課題式(2題中1題を選択)
・1,000字以上1,500字程度
特別区Ⅰ類(春試験)第1次試験の内容

なお、早期SPI枠の出題内容は下記のとおりです(現在公開されている情報のみ)。

SPI試験
(約35分)
■テストセンター式
適性検査
特別区Ⅰ類(早期SPI枠)第1次試験の内容
1次試験のまとめ
  • 「教養試験」「専門試験」「論文試験」の3つ
  • 難易度は「大学卒業程度」

これらの内容を踏まえ、さらに「教養試験」「専門試験」「論文試験」のそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

教養試験

教養試験は5肢択一のマークシート式で、120分間で48題中40題を解答します。

教養試験には「一般知能分野」と「一般知識分野」といわれる分野があり、一般知能分野では文章理解(現代文、英文)、と数的処理(判断推理、数的処理、資料解釈、空間把握)が28題必須解答となっています。

一般知識分野では人文科学、社会科学、自然科学、社会事情が合計で20題出題され、そのうち12題を自由に選んで解答する形となります。

どのような問題が出題されるのか確認したい場合は、特別区人事委員会のホームページで直近3年分の過去問が公開されていますから参考にしてみましょう。

また、得点の目標としては多くの予備校で「6割」としているところが多く、実際6割(24問)程度取れていればまず問題ないと考えてよいでしょう。

教養試験のまとめ
  • 5肢択一のマークシート式
  • 回答時間は120分
  • 48題中40題に回答
  • 得点率は6割を目指す

専門試験

教養試験は5肢択一のマークシート式で、90分間で55題中40題を自由に選んで解答します。

法律系科目では憲法・行政法・民法①・民法②、経済系科目ではミクロ経済学・マクロ経済学・財政学・経営学、政治系科目では政治学・行政学、そして社会学が出題されます。

40題も解答しなくてはならないことから、ほとんどの科目について”捨てる”ことができないため、教養試験とあわせてしっかりとした対策が求められます。
教養試験と同様、こちらも6割以上は得点できるようにしていきましょう。

専門試験のまとめ
  • 5肢択一のマークシート式
  • 回答時間は90分
  • 55題中40題に回答
  • 得点率は6割を目指す

論文試験

論文試験はいわゆる「課題式論文」といわれるもので、特別区の行政課題等について自分の意見を論述する形式です。
2題テーマが与えられ、そのうち1題のテーマを選択して論文を作成していきます。

文字数は1,000字以上1,500字程度となっており、一般的な地方上級の試験と比較すると多めです。

例として、昨年の出題テーマを載せておきます。

【2024(令和5)年度】テーマ①

デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会のために、自治体におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)が推進されています。こうした中で、特別区においては、専門人材の体制整備やデジタルを活用した区民サービスの更なる向上などの課題が存在しています。このような状況を踏まえ、地方行政のデジタル化について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

出典:2024年度 特別区Ⅰ類 論文問題

【2024(令和5)年度】テーマ②

我が国では、いじめ防止対策推進法の施行以降、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校での積極的な認知などによるいじめの早期発見・早期対応が進められてきましたが、不登校などの「重大事態」は増加し、深刻ないじめはあとを絶たない状況です。いじめといじめによる不登校の解消のために、関係機関と連携し、児童・生徒の声にもしっかりと耳を傾けながら必要な支援を行うことが重要です。このような状況を踏まえ、いじめといじめによる不登校対策について、特別区職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

出典:2024年度 特別区Ⅰ類 論文問題

特別区Ⅰ類では論文の評価が極めて重要になります。
教養試験よりも論文試験で高得点を取ることが合格への最短ルートともいえるでしょう。

論文試験のまとめ
  • 形式は課題式論文
  • 回答時間は90分
  • 2題中1題に回答
  • 文字数は1,000字以上1,500字程度

なお、特別区における論文の出題傾向や対策方法については下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

(STEP3)第1次試験合格発表

  • 合格者の番号が特別区のホームページに掲載され、合否通知が個別に郵送されてきます。
  • 合格者には2次試験の日時や会場が記載された案内が届きます。

(STEP4)第2次試験[面接試験]

特別区Ⅰ類(春試験)の第2次試験は面接試験です。
面接官3人対受験生1人の個別面接で、いわゆる「人事委員会面接」と呼ばれており、例年大田区産業プラザPioという会場で行われます。

面接時間は30分程度となっており、エントリー時に提出した面接カードをもとに面接が進んでいきます。
15~20分程度で終わる自治体も多い中で、比較的長めの試験時間といえるでしょう。

ちなみに、特別区の配点は非公表となっていますが、これまでの合格者のデータを踏まえると面接試験の配点が高いと考えられます。
そのため、1次試験を終えたら早めに面接対策に取り掛かることをオススメします。

なお、第2次試験(人事委員会面接)の詳しい試験の流れや具体的な対策方法については、下記の記事で紹介していますので参考にしてみてください。

第2次試験のまとめ
  • 試験形式は面接官3人対受験生1人の個別面接
  • 試験時間は30分程度
  • 面接カードをもとに面接が進んでいく
  • 特別区では面接試験の配点が高い

(STEP5)第2次試験(最終)合格発表

  • 合格者の番号は特別区のホームページに掲載され、合否通知が個別に郵送されてきます。
  • 最終合格者は採用候補者名簿に登載され、区面接を受ける権利を得ます。
  • 最終合格者には区から「区面接」の案内が届きます(電話やメール、郵送など)。

最終合格をしたら即座に「内定」となるわけではなく、最終合格後に行われる「区面接」に合格することでようやく「内定」となる点に注意が必要です。

また、自分からどの区面接を受けるかを選ぶことはできません。
最終合格の順位や希望区などを考慮されて特別区人事委員会から各区へ提示されるため、希望区外から連絡が来ることもあります。

最終合格における注意点まとめ
  • 「最終合格=内定」ではない(区面接に合格したら内定となる)
  • 自分がどの区面接を受けるかを選ぶことはできない(区側が受験生を選ぶ)

(STEP6)各区ごとの採用試験[面接試験等]

いわゆる「区面接」と呼ばれる試験で、特別区人事委員会ではなく各区が主催して採用試験を行います。

場所は各区の区役所で行われ、多くの区では個別面接形式を採用しています(一部集団討論を実施する区もあります)。
区面接の前には新たに面接カードの作成を求められることもあり、第2次試験と同様に気を抜かず徹底した対策が求められます。

区面接の流れを簡単にまとめると、下記のとおりとなります。

STEP
最終合格後に区から電話が来る
  • 最終合格発表日以降に区から電話やメールで連絡が来る(早ければ当日中)
  • 希望区から連絡が来ることもあれば、希望区外から連絡が来ることもある
  • その区の区面接を受けるかどうかの確認をされる
  • 区面接を受ける場合、日程等について連絡を受ける
  • 区面接の日程は連絡を受けてから1~2週間以内が多い
STEP
区面接が実施される
  • 各区の区役所で行われる
  • 合否の連絡は区ごとに異なる

区面接の面接時間や雰囲気は各区によって異なります。

例えば15分程度の意向確認のような軽い面接もあれば、2次試験と同様に30分近く「THE・面接」といった雰囲気で行う区もあり、最後の最後まで気は抜けません。

区面接に関するよくある疑問

ここで、区面接に関するよくある疑問にお答えしたいと思います。

Q1. 区面接は何回も受けられる?

特別区Ⅰ類では、7月・10月・11月・12月・1月・2月に2回と全7回の「提示日」が設けられており、この時期に区から区面接の連絡が来ることになります(第1回目の提示日が最終合格発表日です)。
つまり最大で7回の区面接を受けるチャンスがあるということです。

しかし、これはあくまでも”最大”というだけで、7回すべて提示があるわけではありません。
また、例えば2回目と5回目などランダムに連絡が来る場合や、残念なことに1回も連絡が来ない場合すらあります。

確かに区面接は複数回受けるチャンスはあるものの、回を重ねるごとに採用人数が充足されていくことを踏まえると、序盤の回で受けていく(合格を勝ち取っていく)ことが望ましいといえるでしょう。

Q2. 希望区から連絡が来なかったら辞退してもいい?

前提として、区面接は希望区から連絡が来ることもあれば希望区以外から連絡が来ることもあります
このあたりは各区の定員や受験生の順位によって変わってくるため、予測することは不可能です。

そして、区面接は必ず承諾しなくてはならないわけではなく辞退することもでき、辞退した場合は次回以降の提示を待つことになります。

しかしその後必ず提示があるとは限らないため、例えば第7回目の提示まで連絡が来ず、いわゆる「採用漏れ」となってしまう可能性もあります。

そのため、もしも”特別区職員として働くこと”が第一目標なのであれば、これもご縁だと思って呼ばれた区で面接を受けるのもよいと思います。

Q3. 区面接で不合格になったらどうなるの?

区面接で不合格になっても、もう二度と区面接を受けられないというわけではありません。
辞退した場合と同様に次回の提示を待ち、連絡があれば区面接を再度受けることができます。

つまり、採用候補者名簿からの削除(区面接を受ける権利の放棄)を自ら申請しない限り、何度でも受けるチャンスはあるのです。

しかしQ1でも触れたように、回を重ねるごとに採用人数は充足されていくため、可能な限り序盤の回で合格を目指すことが求められます。
区面接で不合格とならないためにも、ぜひ万全の対策をしていきましょう。

区面接における注意点まとめ
  • 希望区から連絡が来るとは限らない
  • 面接形式はほとんどの区で個別面接(一部集団討論を実施する区アリ)
  • 試験時間は15~30分程度
  • 区面接用に新たに面接カード等を作成する場合がある
  • 区面接で不合格や採用漏れになることもある

なお、区面接の詳しい試験の流れや具体的な対策方法については、下記の記事で紹介していますので参考にしてみてください。

(STEP7)内定

  • 区面接に無事に合格すると内定の連絡が来ます。
  • 区面接で不合格だった場合は、次回以降の提示を待ちます。

試験倍率

特別区Ⅰ類(春試験)における過去5年分の試験倍率は下記のとおりです。

事務(一般事務)採用予定数受験者数最終合格者数合格倍率
20241,3126,8683,0352.3
20231,1817,6683,0132.5
20229838,4172,3083.6
20218749,0191,8814.8
20209068,1211,7414.7
事務(ICT)採用予定数受験者数最終合格者数合格倍率
20241659272.2

特別区は毎年数千人が受験する人気の組織ですが、基礎自治体の中でも規模が大きいため採用人数も多く、倍率は標準的な水準となっています。
自治体によっては10倍前後となることもあることを踏まえると、比較的挑戦しやすい試験だと思います。

また、第1次試験の合格者のうち2次試験を受けない受験生も一定数出てくるため、実際の倍率は記載されているものよりも少し下がります。

さらに近年は倍率が低下傾向にあるため、特別区職員が第1志望の受験生にとっては狙い目といえるかもしれません。

新たに新設された事務(ICT)も今後、採用予定数が増える可能性も否定できませんので、検討している受験生は積極的に受験してみるとよいでしょう。

併願のポイント

(1)特別区受験生にオススメの併願先

特別区Ⅰ類を受験する方にオススメの併願先は、地方上級(都道府県庁・政令市)、市役所、国家公務員など多岐にわたります。

特別区Ⅰ類の試験は4月スタートと他の自治体の試験よりも1~2か月ほど早いため、多くの組織と日程が被らず併願をすることが可能です。

受験生の中には「併願はせず特別区に集中したい」という方もいるかもしれませんが、特別区の筆記対策や面接対策は他の組織の試験対策にも応用できるため、公務員への就職を第1志望としている方は併願を検討してみてもよいと思います。

ただし、組織によっては追加で対策が必要な場合もありますので、自身の負担にならない範囲で受けられるものを選んでいくとよいでしょう。

(2)併願できない組織

特別区Ⅰ類の受験生が併願できない組織は、特別区経験者採用と東京都庁Ⅰ類B採用です。
(ちなみに該当する受験生はいないと思いますが、特別区氷河期採用も併願不可です。)

特別区経験者採用は受験資格を満たしていても試験区分や受験の有無にかかわらず併願不可となっており、東京都庁Ⅰ類B採用は日程が被っているためそもそも併願することができません。

また、先述のとおり特別区Ⅰ類の「春試験」と「早期SPI枠」も併願することができないため、受験を申し込む前にどちらの枠で受験するのか決めておきましょう。

まとめ

今回は、特別区受験生に向けて試験制度の概要や対策方法等について解説しました。
特別区を受験するにあたって、試験全体の流れや注意点についてご理解いただけたことと思います。

特別区への確実な合格を勝ち取るためには、筆記試験と面接試験の徹底した対策が不可欠です。
本記事の合間に紹介した記事も参考にしながら、ぜひ効率的に対策を進めていってください。

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